
きちんとした「商品」を用意せずに商売をしていませんか
<変人・安田の境目コラム>
商品=「顧客が買いたくなるモノ」を持たずにビジネスをしてる人が、実は少なくない
この会社に商品はあるのか。このフリーランスに商品はあるのか。私は職業柄いつもこんな目で人や会社を眺めています。
ウチは印刷業です。
私は社労士です。
そう名乗る人の、なんと多いことでしょう。もちろん、それ自体が悪いわけではありません。いきなり「境目研究家です」などと名乗られても、相手は混乱するばかりです。だから分かりやすいように、あなたが知ってる業種や職種で言うと、うちの会社は〇〇業です。私は〇〇職です。と名乗ることは正しい。だって単なる挨拶なんですから。印刷現場で使う機械とか、社労士業務の内容とか、そんなものを話されたって普通の人はただ退屈するだけです。
だけど顧客が相手なら、事情はガラッと変わります。なぜなら買ってもらわなきゃいけないから。にも関わらず同じような自己紹介をする人が多いのです。私にお金を払う人は、何を価値だと思っているのか。それをどのように説明すれば目の前にいる人に伝わるのか。ここを考えなくちゃいけません。
世の中に印刷業はたくさんあれど、ウチに依頼してくれる人はここに価値を感じてくれています。
私に顧問を依頼する会社は、ここに価値を感じてくれています。
それが伝わらないことにはお客さんにはなってくれません。
きちんとした商品には、きちんとした「名前」と「納得される価値と価格」が要る
ああなるほど。だからこの会社は繁盛しているのか。だからこの人はたくさん顧問先があるのか。そう納得できる理由。それが商品です。
商品がない人や会社に共通するのは、
価格がついたものが商品だと思い込んでいること。
価値があるものに名前や値段をつけていないこと。
この2パターンです。
どんなに良いサービスも、名前や価格がなければ商品にはなりません。顧客がお金を払っている対象が、必ずしも商品(価値)だとは限りません。ここが商売の面白さであり、奥深さでもあると思うのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。