
会社を興して社長になって、さらにその先の生き残り方
<変人・安田の境目コラム>
私、安田自身の経験から、「これだけは!」とはっきり言えるコト
何度かお話ししてきましたが、社長ほど潰しの効かない職業はありません。自分ひとりでは何もできない。指示命令はできるけど現場はできない。雇ってもらうことなんて絶対に無理です。
これは創業者も同じです。ゼロから立ち上げたので何でもできる。そう信じている人は多いです。でも現実はそんなに甘くありません。これは私自身の実感です。創業者としてやってきた。営業マンもやってきたし、納品だってやってきた。いざとなれば何だってできる。そう思っていました。
だけど現実は厳しかったです。20年も社長業をやってしまうと、完全な社員依存が出来上がるのです。もはや書類ひとつまともに作れません。
会社を潰さなきゃいいじゃないか。そう言われてしまいそうですが、今の時代はそれが大変なのです。会社を潰さないことが目的になると、やりたくない仕事も受けるようになる。受けた仕事をこなすために社員を雇う。社員の給料を払うために借入もする。時間と共にどんどん疲弊していく。
ここまで来ると、もはや選択肢がありません。続けたいのではなく続けるしかない。しかし、どこかでそれも終わる。その後どうなるか想像できますか。
会社も社長も、いつか終わる時が来る。その先の進み方は「これ」しかない
会社を潰せとは言いません。潰さない方がいいに決まってます。だけどずっと自分でやるのは無理です。出口は廃業か継承か売却。上場以外にはこれしかありません。
もし上場を目指さないのなら、ひとつの事業を大きくしすぎないこと。これがとても重要だと思います。最も利益率の高いところで維持する。そして維持することが得意な人に経営をスイッチしていくのです。経営をスイッチしていれば、売却するのも簡単です。自分がついていく必要もありません。社員のことを考えて、最も理想的な会社に売ればいいだけ。
では自分は何をやるのか。もちろん新たな仕事をするのです。新たな会社での社長、ある会社では取締役、時には個人で仕事を受けるフリーランスとして。複数の役割をこなすこと。
それが自由への近道なのです。
※社長のリスクだけではない。雇われた会社員もリスクを背負っている。雇われていないフリーランスもリスクがある。そうしたリスクを避けるにはどうしたらいいか、について安田氏がより詳しく解説しているこちらの別コラムもどうぞ併せてご覧ください。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。