
リアルは高くつく。が、新時代ビジネスのチャンスになる
<変人・安田の境目コラム>
人を動かして低価格ビジネスをすることが、もうできない時代になりつつある
リアルで人に会うこと。会って話をすること。一緒に食事をすること。こういう当たり前のシーンが、もう当たり前ではなくなっています。コロナが引き金になったことは間違いありません。
でもそれだけじゃない。元々これは抗えない、大きな流れのような気がします。省人化とオンライン化。このふたつの流れに乗って、人類は(とくに日本は)突き進んでいくと思われます。
ビジネスにおいてはその兆候は顕著です。営業も、相談も、納品も、オンラインで可能なものは、すべてオンライン化していく。人間の移動に伴うコスト。身だしなみにかかるコスト。会う場所を確保するコスト。それが価格に直結するからです。アナログではもう生き残れないのです。
社員を動かせば安あがり。これはもう古い価値観です。
人が動けば高い。だからできるだけ動かさない。これが進行しつつある未来。
効率を重視するビジネスと違い、趣味や楽しみにはリアルが残るでしょう。友達と会って食事するとか。家族でのんびり旅行するとか。大好きな工芸品を集めるとか。もちろんここにもデジタルの波は押し寄せます。お店や旅館の情報収集や予約、趣味仲間出会い語り合うサイトなど。でも最終的にはリアルが残ります。
人が、リアルでわざわざ動いて何かする = そのこと自体がビジネスになる
残るのは価値のあるリアルです。
わざわざ友達と会って食事するのだから。せっかく家族で旅行するのだから。大好きな趣味なのだから。そこにはこだわりたい。逆から見ればこれはビジネスです。
こだわりの食材を使ったレストラン。家族旅行を存分に楽しんでもらう接客。職人が手作業で仕上げた商品。それはリアルが価値を発揮する仕事。
人が動く仕事は高い。ちゃんとお金を払い、それに見合う価値を求める。安く済ませたいなら人は動かさない。それが新たな常識となるのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。