
我慢して報酬を得るのでなく、楽しんで稼ぐ仕事のしかたへ
<変人・安田の境目コラム>
かつては、みんな、歯を食いしばって我慢しながら仕事してきた。けど…
楽しくて稼げる仕事と、辛くて稼げない仕事。これなら選択は簡単です。誰だって楽しく稼げる仕事がいい。
だけど現実はそんなに甘くはありません。辛いけど稼げる仕事と、楽しいけど稼げない仕事。この選択を迫られているわけです。そして多くの人が前者を選んできました。辛いけど我慢して、だんだん仕事ができるようになっていく。昇進して給料が上がり、しんどい現場仕事から抜けられる。会社も社員もハッピーエンド。
これはもう過去の話です。
今はこう。
出来るだけストレスなく働きたい。昇進はしなくていいし、したくない。昇進して増えるのは給料より責任と仕事量。生活レベルを抑えて楽しく生きていこう。つまり楽しいけど稼げない仕事を、多くの若者が選ぶようになっているのです。
もちろん生活できないほど低い報酬ではダメ。贅沢しなければ生活していける給料。それが確保できるなら楽しく生きていきたい。
もちろん稼ぎたい若者だっています。ガンガン稼いで贅沢がしたい。そのためにはキツイ仕事だって我慢する。その結果どうなるか。仕事はさらにキツくなっていくのです。キツイ仕事に耐えて管理職になっても、現場の若い社員はどんどん辞める。新たに採用した新人を教えるのも、彼らの給料を稼ぐのも、管理職の仕事。いつまで経っても現場から抜けられない。
これとは正反対の現象が、一部の会社で起こり始めます。報酬はそんなに高くないけど、好きな仕事で楽しく働ける職場。ここを選んだ人たちの会社です。
ツライことを我慢しない仕事の方に、光が当たる時代が訪れつつあります
仕事が楽しいし会社も好きだ。いい仕事をすればお客さんにも喜ばれる。だからどんどん頑張りたくなる。いつの間にかサービスレベルが上がり、顧客がどんどん集まってくるように。
社員が疲弊するのは嫌なので、顧客は増やさず価格を上げることにする。売上は微増だけど利益がぐんと増える。増えた利益で社員の報酬や労働環境を良くする。働きたい人がどんどん集まってくる。
気がつけば、楽しく稼げる仕事と、辛くて稼げない仕事になっている。こうなったらもはや選択の余地はありません。問題はここに至る順序。辛さではなく楽しさが正しい入口なのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。