働き方

ビジネスでアプローチすべきは顧客の「心」か「魂」か

投稿日:2023年4月17日 / by

<変人・安田の境目コラム>

何かを欲しい・買いたい、と思う気持ちは心から生じるのか、それとも魂から?

私の心はどこにあるのでしょう。やはり脳みそにあるのでしょうか。それとも胸(心臓)にあるのでしょうか。あるいは肉体とは別の次元に、そっと置かれているのでしょうか。

魂と心は同じなのか。それとも全く別のものなのか。答えは死ぬまで分かりません。私の予想は「別モノ」だという説。それは経験から来るものです。

マーケティングで意識すべき顧客の「心」「魂」
生まれた瞬間に性格が決まっている。元からそうだったとしか考えられない。
自分にも、自分の子供にも、そう感じることが多々あります。だから「魂はあるのだろう」としか思えません。

一方で、記憶という脳内情報が、人の価値観を作っていることも事実です。もし完全に記憶を無くしたら、私は私ではなくなってしまうでしょう。残念ながら愛しい我が子も、数十年来の友人も、あかの他人になってしまうのです。

生まれてから今までの記憶を、完全に入れ替えることが出来るなら。家族を入れ替えることも可能。立場を入れ替えることも可能。つまり別の人間になって、別の人生を生きることが可能になるのです。

顧客の「心」を動かすために、彼らがどういう「記憶」を持つ人なのかを探る

この考えに基づくと、人間=記憶という図式が成り立ちます。実際この社会における立場は、お互いの記憶によってできているのです。すべての人が完全に記憶を無くし、記録も無くしてしまったら。借金は消える。権力も消える。国籍も消える。家族も消える。全てが消えてしまうのです。

そのとき性格はどうなるのでしょうか。まったく変わるような気もするし。やっぱり元の自分を引きずるような気もするし。記憶が入れ替わってもは同じ。だけどは別人。そうなるような気がします。

ではビジネスでは、どちらにアプローチするべきなのか。身も蓋もないようですが、魂ではなく心だと思います。欲しいという欲求や、特別だという思いは、脳みその記憶で作られた錯覚だからです。

ターゲットとは記憶に他なりません。どのような記憶を持った人が、この商品、このビジネスのターゲットなのか。そこにどのような情報を加味すれば、心が動くのか。商売とは記憶で心を操るゲームなのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
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1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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