
すべてに平均点以上を狙う人が陥りやすい落とし穴
<変人・安田の境目コラム>
学生時代から、私、安田は「平均点を度外視する人間」。受験に向かない生徒でした
私は昔から平均点というものに、まったく興味がありませんでした。何故なのかは分かりません。たぶん持って生まれた性分でしょう。興味があったのは、特定の分野の点数です。とくに多くの人が苦手とする科目。高校での物理はまさにそんな感じでした。
みんなの平均点が30点ぐらい。一番点数の高い人でも60点以下。こうなると私は俄然やる気が出るのです。試験内容が難しすぎると、生徒には大ブーイングでした。その試験で私は学年で唯一90点以上を取り続けたのです。
決して頭が良かったわけではありません。その他の教科はすべて落第点でした。どんなに勉強しても、普通の教科は点数が伸びないのです。なぜ他の教科は点数が伸びないか。それは高い点数を取るための勉強方法が決まっているからです。私は決められた通りにやることが本当に苦手なのです。
なぜ物理の点数だけがいいのか。それは通常の勉強では解けない問題だから。普通では解けないものの解き方を考える。こういうものだけはなぜか出来たのです。
平均点を保つ生き方は受験にはいいかもしれない。が、ビジネスでは違う
頭がいいのか悪いのか。先生も優等生も扱いに困る。私はそういう生徒でした。だけど確実なことがひとつだけありました。それは受験には決して合格できないということ。どんなに難しい問題を解いても、全教科の平均は40点そこそこ。偏差値なんて40にも満たない。日本教育における完璧な劣等生。どうやって生きていくんだと、先生はみんな心配していました。
しかし今になってみれば、その偏りが私の生業を支えています。社会に出れば平均点なんて、何の意味も持たないのです。突き抜けたものがひとつあれば、十分に生きていける。
社会は何と素晴らしいのだろ。なんて自由な場所なんだろう。大人になった私は心からそう思いました。そしてとても不思議になりました。なぜ先生はあんなにも、平均点を重視したのでしょう。あの時、平均点を追い求めた同級生はその後どうなったのでしょう。
※「平均点」という指標が、学校での受験と、ビジネスの世界ではまるで意味が違う。そのことを安田氏が、「不味くないレストランが、どうして人気店になれないのか」といった切り口から、とてもわかりやすく解説してくれる別コラムを、こちらで読むことができます。どうも顧客が増えない、業績が伸びない、競合に勝てない。そんな悩みをお持ちの方、ぜひともご覧ください。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。