働き方

「企業の物語」はもう古い。これからは個人の物語の時代

投稿日:2023年7月10日 / by

<変人・安田の境目コラム>

企業がブランドメッセージやブランドストーリーを意識する。今では当たり前になりましたが…

かれこれ15年ほど前のこと。私は中小企業に「コトバ」を販売するビジネスを考えました。「コトバ」を持つ会社へ。これが商品のキャッチコピーです。

正直言ってあまり売れませんでした。当時はまだ中小企業が「コトバ」に投資する時代ではなかったのです。そんな中でも賛同いただけた会社があり、嬉しいことに今では大きな成長を遂げられています。

企業がブランドストーリーを発信するのはもう古い
まだ誰も投資しない時代にブランドメッセージに投資をする。これはなかなか勇気のいることです。でも他社がやっていないからこそ、そこに大きな価値が生まれたのです。

今では多くの中小企業がブランドを意識するようになりました。そこに投資する会社もどんどん増えて、当然のことながら投資効果は薄れています。投資はタイミングがとても難しいのです。

当時の私たちが「コトバ」と定義したものが、今では「物語」として定着しています。顧客を惹きつける創業物語。顧客をファンに変える開発物語。働きたい人が集まってくる社員物語。

ネットとSNSが普及して、今や物語は必須アイテムとなりました。物語なしでは集客も採用もできない。広告に莫大なコストがかかる。だからみんな躍起になって物語を作ります。

今はもう「個人の物語」が重要な時代。いつ誰がやるかって?今、あなたがやるしかありません

ですが正直に言って、今はもう企業の物語は飽和状態です。あらゆるオフィシャルサイトに物語が溢れかえっています。あって当たり前の状態なのです。

これからは個人の時代です。物語を持つ個人が台頭する時代。一人ひとりが自分の物語を発信し、自分だけのマーケットを作っていくのです。

芸能人やユーチューバー作家やスポーツ選手や政治家など、名前を売りたい人や商品を売りたい人がどんどん個人情報を発信しています。

でも多くの人は思っているはずです。自分には関係ないなと。かつての中小企業が「ブランドなんて大企業のものだ」と考えていたのと同じ。ここでも必ず先行する人が出てくるでしょう。

断言してもいいです。これから投資すべきは個人の物語。社長はもちろん、社員もフリーランスも自分の物語を持つ時代。先にやった人が圧倒的に有利。お金ではなく物語を蓄えるのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
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1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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