働き方

社畜を美化するCMも、タバコのCMも、もうありません

投稿日:2023年7月31日 / by

<変人・安田の境目コラム>

かつて、24時間戦う企業戦士を称える「リゲイン」と言う栄養ドリンクのCMがありましたが…

24時間働けますか?ジャパニーズビジネスマン。30年前はこう問われてみんなが奮起しました。リゲインを飲みまくって残業を自慢し合って。

懐かしい。でもあの時代はもう終わり。私は当時から残業なんてしない人だったので、いつも白い目で見られていました。でも今はそれが普通です。

24時間戦え!
今あんなCMを流したら社会問題になるでしょう。第一三共とテレビ局に苦情が殺到するのは間違いありません。

そもそもあんなCMを流しても商品は売れない。リゲインを飲んで「24時間働こう」ではなく、「何とか8時間を乗り切ろう」じゃないと。
「飲めば上司の嫌味が聞こえなくなる」とか。「仕事のストレスから解放される」とか。

昔はテレビでタバコのCMが流れていました。バイクに乗ったカッコいい大人がマルボロを咥える。あれは未成年を対象にしたCMです。タバコはかっこいいという印象を子供に植え付け、未成年のうちにニコチン中毒にしてしまう。

だけど今の子供達は知っています。タバコを吸う大人がカッコ悪いということを。労働も同じです。働く大人はかっこいいという印象を若者に刷り込んでいました。だけど今はそれが通用しません。

働くことの価値や目的が、もう完全に変わっている。「会社」の立ち位置も変わってます

企業戦士という言葉が死語になり、社畜と言わないと若者には伝わらない。会社のために働く人はもう家畜と変わらないイメージなのです。カッコよさをアピールしたところで、もうタバコは売れません。労働も同じなのです。

今でもガンガン働く若者はいます。でもそれは会社のためではなく自分のため。出世目的ではなく自立目的です。会社に頼らず食べていくため。

多くの若者は無理せず、安定して稼げる仕事を求めています。だったらそこに合わせるしかありません。無理せず、残業せず、我慢せず、そこそこ稼いでプライベートが充実している。それが現代のカッコいい生き方なのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda2
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について