
お金の本当の価値を、子供たちにきちんと教えられるか
<変人・安田の境目コラム>
私、安田が、自分の子供に「これだけは残してあげたい」と思うこと
私には3歳の男の子がいます。今58歳なので、いつまで一緒にいられるか分かりません。
「安田さんは大丈夫です」とか、「まだまだですよ」って、即否定されちゃうんですけど。そういう問題ではないのです。子供が10歳ぐらいの時に自分が死んでもいいように、ちゃんと何かを残しておきたい。私はそう考えているわけです。具体的に言えば「生きていくスキル」みたいなもの。それを身に付ける手伝いがしたいのです。
10歳までに教えられることには限界があります。だから私は価値観みたいなものを残してあげたい。「人生とは」「仕事とは」「お金とは」という価値観。それが彼の人生を大きく変えると思うからです。
教えたいことはとてもシンプルです。仕事とは誰かに感謝されることで、お金はその感謝のしるしで、人からたくさん感謝されれば人生はよりハッピーに、より豊かになっていく、ということ。
言葉で教えるだけではなく、生活を通して実感させてあげたい。
まずはコーヒーがいいかな、と考えています。私は毎朝コーヒーを飲みます。豆を挽いて、お湯を注いで、自分と妻のために美味しいコーヒーをつくる。これを息子がやりたがるわけです。自分にもやらせて欲しい。毎朝そういうので少しずつ教えています。まずは豆挽きに豆を入れるところから。次に豆挽きのスイッチを押す。音が変わるまで豆を挽く。挽いた豆を移し替えて熱いお湯をゆっくりと注ぐ。
小学校2年生ぐらいになったら、すごく美味しいコーヒーを淹れるバリスタになっているかもしれません。彼の淹れた美味しいコーヒーを飲んで、「ありがとう」と感謝を伝えて、お礼としてお金を渡すのです。
お金を欲しがる子にするのではない。その真の価値を知る子供になってほしい
お小遣いはあげない予定です。決まった日に「もらう」のではなく、人に喜んでもらえたら「受け取る」もの。それが対価。掃除とか、料理とか、メルマガ配信とか、手伝ってみたいことを自分で決めて、自分でお金を稼いで欲しい。
4年生ぐらいになったら家の外でも稼いでみる。まずはオンラインで人に感謝されることをして、いろんな人に喜ばれて、その対価を受け取るのです。
そんな事をしたら何にでも「金をくれ」と要求する子供に育つ。そう懸念する人もいます。だけど私はそうならないと思います。だってお金は別に嫌らしくもないし崇高でもないのですから。
崇高なのはお金を得る前の人の役に立つ行為。嫌らしいのは役にも立たずお金を得ようとする行為。働くことの意味をちゃんと教えれば、人に感謝され自然とお金が集まってくる人になる。だって社会はそうできているのですから。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。