
会社がお金儲けをめざすのは当たり前、の時代は終わり
<変人・安田の境目コラム>
「あの会社さん」の“事件”の顛末で、はっきりわかっちゃったことですが
ビッグモーターの社長会見に驚いた人は多いでしょう。なぜこんなことを言ってしまうのか。なぜこんなにも謝罪のセンスが悪いのか。
顧客に対する裏切りでした。すべては私の責任です。と言わなければならないところ。ゴルフに対する冒涜だ!すべて現場が勝手にやりました。と言ってしまったわけです。
センスが悪い。常識がない。今どきのコンプラが分かっていない。などなど、いろんな意見があるでしょう。でも問題の本質はそこではありません。
この問題の最大の根っこ。それは経営トップが「悪いことをしてきた」とは微塵も思っていないこと。罪悪感という感情を持っていないことです。
隠しているのではなく、保身に走っているのでもなく、ただただ本気で悪気がない。自分が悪いことをしたなどと微塵も感じていない。ここが一番の問題なのです。実際に悪いことなどやっていないのだから、当たり前ではないか!と社長は反論するでしょう。
「お金儲けを最優先にするとお金儲けができないこと」に気づいてない人たち
そうなんです。悪いことはやっていましたが、悪いことをやれとは指示していないのです。指示したことはシンプルです。どんなことをしてでも金儲けをしろ。そう指示しただけ。その命令を社員が守ろうとしただけ。
企業が金儲けをするのは当たり前だろう。ちょっとでも多くの利益を出すために全員で努力する。当然のことではないか。社長の責任があるから、こうやって謝罪もするけど、自分は何ひとつ悪いことはしていない。そう信じきっているのです。
優先順位の一位をお金儲けにすると、どのようなことが起こるのか。その想像力が乏しい。いや、時代に合っていないのです。昔はこれで良かったのでしょう。だけど今こんな経営をすると、どこかで会社が破綻することは火を見るよりも明らかです。その明らかなものが見えていない。それが今回の事件の本質なのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。