
あなたは、あなたの人生の引き際、考えていますか?
<変人・安田の境目コラム>
創業社長としてワイキューブという会社を潰したことのある私、安田がつくづく学んだこと
自らの失敗を顧みて断言します。すべての社長はいずれ致命的な判断ミスをするのです。
いやいや君に言われたくない。あなたみたいな失敗はしないよ、と言われそうですが。
もしあの時に会社が潰れていなかったとしても、いずれ自分は致命的な失敗をしただろう。今ではそう確信しています。
なぜなら私は慢心していたし、社長という立場に慣れすぎていたから。そして何よりも長く社長をやりすぎたから。
ワイキューブが潰れたのはちょうど20年目です。今振り返ると本当に長くやりすぎたと思います。
当時の私が限界を感じていたかと言うと、まったくそんなことはありません。むしろ史上最高というくらい自信が漲っていました。だから自分から辞めるとは到底言い出さなかったでしょう。
しかも私は創業者で筆頭株主でもありました。私に面と向かって「そろそろ辞めなさい」と進言する人もいませんでした。私は自ら引き際を決める以外にはなかったのです。
社長の引き際も、人生の引き際も、よくよく見きわめる必要がある
今なら引き際がよくわかります。
ある意味いちばん脂が乗り切っていた頃。
会社が潰れる5~6年前。
「ようしこれからだ!」と思っていた頃。
あそこで経営を誰かに任せ、自分はまったく新しいビジネスにチャレンジすべきだった。今ではそう確信しています。
だけど今の私でも当時の自分を説得する自信がありません。なにしろ自信満々でしたから。
株式投資でもいちばん難しいのは売り時だと言います。まだまだ上がりそうな時に売るしかない。下がり出したらもう手遅れなのです。
創業社長の引き際は自分で決めるしかない。そしてそれはあらかじめ決めておくしかない。自らの経験からそう断言できます。
人生が300年あったらきっとほとんどの夫婦が離婚するでしょう。おしどり夫婦も長けりゃいいというものではないのです。幸せな最中で終わる人生。悲しいことですが、ある意味これほど幸せなことはないのかもしれません。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。