
自分が持つ「無限の可能性」を目減りさせない方法
<変人・安田の境目コラム>
人は誰でも無限の可能性を持っている。が、無限に成長できている人は少ない。なぜ?
運命は100%決まっていて同時に100%自由である。
これは有名な武道家である甲野善紀さんのお言葉です。意味が分かるようで分かりません。
私なりの解釈はこうです。人は生まれた時には無限の可能性を秘めている。だけどそれは私がジャイアンツの4番打者にもなれるということではないのです。
私がジャイアンツの4番バッターになれる可能性はゼロでした。生まれた瞬間から野村監督が手塩にかけて育ててくれても、長嶋さんが毎日素振りをチェックしてくれても、私はジャイアンツの4番にはなれなかった。これはもう100%決まっていることなのです。
だったら100%自由ではないと突っ込まれそうですが、そんなことはないのです。ジャイアンツの4番になることはできませんが、私には無限の可能性がありました。360度あらゆる方向に成長していける可能性があったのです。
ただ私の選択肢の中にジャイアンツの4番が入っていなかっただけ。プロミュージシャンになる可能性も、天才数学者になれる可能性も、将棋で7冠を獲得できる可能性も、ありませんでした。だけど、どの方向に進んでも、私は無限に成長していける可能性があったのです。
無限だったはずの可能性がどんどん無くなっていくのは、「執着」のせい
あったと過去形にしているのは無くした可能性があるからです。あったはずの可能性を閉ざしてしまった。それは才能がなかったからではなく、お金がなかったからでもなく、生まれた時代や環境が悪かったからでもありません。
執着してしまったからです。
これを失いたくない。人からこう見られたくない。そういう執着が私の可能性を狭めていったのです。武道家は居着くなと言います。その場に居着くものは弱い。自由に動けるものは強い。
私はずいぶん自分の可能性を狭めてしまいました。だけどきっと私にもまだ無くしていない可能性はあるはず。そう信じて今日もまた執着をひとつ捨てていくのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。