
イーロンマスクが“世界一の大富豪”であることの意味
<変人・安田の境目コラム>
彼がなぜ「世界一のお金持ち」なのか。そうさせたものは一体何なのか
民間人を乗せてロケットを飛ばし、電気自動車のテスラを作った人。
イーロンマスクに対する私の知識はその程度のものでした。イケイケの営業マンで、いかにもギラギラしたビリオネア。そう思い込んでいました。先入観とは恐ろしいものです。
本を読んでイーロンマスクに対する私のイメージはガラリと変わりました。
じつは父親からパワハラを受けまくった苦労人で、徹底した現場主義者。
メチャクチャな目標を掲げ、自ら現場で指揮を取るリーダー。
そしていちばん意外だったのは営業嫌い、広告嫌いだったこと。
私は20年も前から「営業はいずれ無くなる」と宣言してきました。営業にも広告にも頼らないビジネスが最強なのだと。なんとイーロンマスクはそれを実現していたのです。
営業は商品への妥協の表れだと、営業に力を入れていた従兄弟をクビにしてしまうのです。
いい商品を作れば放っておいても売れるのだ。徹底していい商品を作るのだ。営業コストも広告コストも全て商品開発に注ぎ込むのだ。それがイーロンマスクの信念。
広告費などビタ一文使わない。自ら発信しブランド力を高め、ブランドによって集客をするのです。
イーロンマスクのすごさ、そして彼を出現させた米国の深さを、再認識
イーロンマスクが仕事をするのは、お金のためではなく人類のため。
とてつもなく飛躍した最悪の未来から人類を救うため。
核戦争が起こった時のために人類を火星に運ぶとか。完全な自動運転で人類を自由にするとか。人工知能の暴走を防ぐために脳みそに電極を埋め込むとか。狂人的なビジョンで世界一のお金持ちになった人物。これほど面白い人間がいるでしょうか。
Twitterはもう終わるかもと思っていました。半分以上の社員をいきなりリストラして、Xなどという名前に変えてしまって、何がやりたいのか意味がわからない。そう思っていました。だけど今は期待しかありません。イーロンマスクならすごいメディアに変えてしまうかもしれない。
いやあ、イーロンマスクはすごいです。そして彼を世界一にしてしまうアメリカはやっぱりすごい国なのです。
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。