農業テーマの共働スペースが銀座に誕生
農業特化型の共働スペース設立の狙い
東京のど真ん中に、農業・食品をテーマに掲げるコワーキングスペース「銀座ファーマーズラボ」が2015年2月18日、オープンした。銀座農園(株)と(株)スペースデザインの共同事業で、運営はUDS(株)が行う。
企画した銀座農園は、2009年に東京のど真ん中に水田をつくるなど、社名を具現化する企画力で話題性を振りまきながら側面から農業を活性化してきた。有楽町の東京交通会館1階での農作物の直販会、マルシェの仕掛け人でもある。「銀座ファーマーズラボ」の設立は、そうした活動の延長線上に自然に浮上してきた企画だ。
「農業従事者が販売化などで上京し、空いた時間を有効に活用できる場所がない。結局、カフェなどを活用するが、資料整理や商談ができるスペースが都内にあれば、ビジネスチャンスが広がる可能性もある。この場所がそうした活用の仕方で、農業ビジネスの発展につながればいいと思っている」と銀座農園の飯村一樹社長は話した。
共働スペース運営会社と農業の仕掛け人が合体
場所は、マルシェが行われている東京交通会館6階、と絶好のロケーション。この立地の良さを、コワーキングスペースの運営ノウハウを持つUDSが最大限に活かし、農業の6次産業化や販路拡大などをサポートする。
「農業・食品をテーマにしたコワーキングスペースといっても農業従事者を入れるだけでは活性化しません。そこでシェフやフードコーディネーター、イラスタレーターなどにも積極的に入居いただき、有機的なつながりを築けるよう工夫しています。農業を6次産業化するとなれば、いろいろなネットワークが必要になってきますから、その辺りも積極的にサポートしたいですね」とUDS中川敬文代表は明かした。
全体に木材をベースにした素材を使いデザインされたスペースは、ブース、会議室、ラウンジの3のエリアに分かれ、目的や利用コースによって使い分ける。「ラウンジ」は、作業や打ち合わせの他、移動式キッチンもあり、試作やデモンストレーションも可能だ。イベント用のステージもあり、新商品発表会や講演会、勉強会等に利用できる。
「ブース」は、高さ1メートルほどの壁で仕切られた半個室17室あり、集中して業務に取り組んだり、個別に資料等を補完したい場合に適している。「会議室」は5名用2室、13名用3室の計5部屋あり、人数や目的に応じ、使い分けができる。
農業の6次産業化をバックアップ
こうした充実の設備をUDSが、コワーキングスペースの運営ノウハウを最大限に活用し、利用を促進する。具体的には、独自WEBメディアによる交流と情報発信。SNSを活用したオランダのつながる仕組み「Seats 2 Meet」の活用。コミュニティFMでの情報発信など、農業の枠を大きく超えた仕組みと仕掛けで、銀座から農業の6次産業化を力強く後押しする。
立地を生かした仕掛けも用意する。特産品の直売会としてすっかり定着したマルシェに「チャレンジマルシェ枠」を設け、販売の機会を提供。出店料が別途必要となるが、自社の商品力を見極めるには絶好の場となるだけに、6次産業化へ向けたマーケティングとして、うってつけといえる。
多様な人材が集まるコワーキングスペース。そこでは、それぞれの力を引き出され、つながり、新しい何かが生みだされることが、理想的だ。農業・食品をテーマに掲げる「銀座ファーマーズラボ」。同所のような“専門型共働スペース”も今後、増えていきそうだが、地域活性の要素も含む同所の動向は、そうした潮流の広がりを占う意味でも、そして日本が抱える課題解決の新たな仕組みとしても大いに注目される。
銀座ファーマーズラボ:http://www.farmers.jp/