働き方

「一億総活躍社会」をどう捉えるべきなのか…【瓦の目】

投稿日:2015年9月25日 / by

新3本の矢は日本の危機を救えるのか…

successw第二ステージに突入したアベノミクスが新たに掲げた「3本の矢」。最初の3本と違い、今後日本を襲う危機を何とか食い止めようという内容だ。政府が最大の課題とするのは、少子高齢化による人口減少。どんなに市場に金があふれても人口が減少し、市場が縮んでいれば、まさに宝の持ち腐れ。多くの人が労働し、お金を稼ぎ、使ってこそ、景気が好循環するという考えをさらに加速させる狙いがにじみ出ている。

「一億総活躍社会」。この言葉は、これから日本に訪れる危機を予見しているからこそ出たものだろう。このままいけば、日本の人口は減少を続け、労働力が不足し、国力が減退する。だからまず、人口減少を食い止め、さらに女性を働きやすくし、シニア層が働き続けられる環境を整える。そうやって、これまでのように男性中心でなく、女性、そして高齢者も働き続けることで、労働力を多様にしつつ、キープし、活力を生み出そうというワケだ。

閉塞感に包まれ、希望を抱きにくい世にあって、なるほど光明が差し込む様な方向性だ。具体策として、幼児教育の無償化拡大、待機児童の減少、介護離職ゼロ達成…などが挙がり、現状の問題にも踏み込んでおり、頼もしいばかりだ。ただ、実状を考えると違和感はぬぐえない。確かにどれも対策が必要な課題ではある。だが、なぜそうなったのかを考えると、結局は、経済の問題へと帰結してしまうからだ。

国民は全員働き続けることがベストの策といえるのか…

久しい景気の低迷により、国民の所得が減少し、各世帯は共働きを余儀なくされた。その結果が少子化につながり、高齢者率を増加。年金問題が浮上する。さらにそれが定年延長へとつながっている。ここへ立ち返れば、女性は本当は働き続けたくないし、高齢者にしても定年になればとっととリタイアしたいのが本音だ。そんな女性や高齢者を対象にして、「働きやすくしてやるぜ、みんな頑張ろう!」というスタンスはどうもしっくりのこないのだ。

問題は「一億総活躍社会」が、全員が働くことを前提にしているように聞こえることにある。仕事で活躍する人がいれば、子育てに頑張る主婦、あるいは主夫がいる。リタイアした高齢者が、趣味を極めて活躍する…。いろいろな活躍の仕方があっていいはずだ。人口維持は大事だが、どうやって理想の成熟社会とするかの方が現状を考えれば現実的だろう。諸悪の根源は、目に見えない「不安」にある。それを払しょくする策が、<誰もが働き続ける>ではあまりに薄っぺらいし、芸がない。

働き方改革にしても、働くべき人が、仕事の最大化に活用するからこそ意味がある。子育てや介護と両立しなければならないからテレワークを活用、ではなく、テレワークを活用すればより仕事がしやすく、生産性が上がる、ということが、前提であるべきだ。その結果として子育てや介護の余裕もできた、が理想だろう。新三本の矢が、素晴らしい方向性ながら、どこか押しつけがましく感じるのは、気のせいではないだろう。せっかくの“力作”だけにもう少し国民の空気を読んで欲しかった…。

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