
世界が注目する美人双子が明かした先端のストレス対策
働き方の祭典で実現した日本初の姉妹対談
“働き方の祭典”「TOKYO WORK DESIGN WEEK」が2015年11月18日、渋谷で開幕した。オープニングを飾ったのは、マクゴニガル姉妹。美貌に知性が備わった双子の姉妹は、最新著書を引っ提げて、日本のビジネスパーソンが抱える最大の“病”にメスを入れた。

日本初の対談が実現したマクゴニガル姉妹(左・ジェイン、右・ケリー)
まるで、12月に義務化されるストレスチェックを見透かしたかのような、豪華でインテリジェンスな講演となった。
心理学者の姉ケリーにとって、ストレスは専門分野。最新著書「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」では、タイトル通りのストレス対策を指南。妹ジェインはゲームデザイナーながら、ゲームが持つ力を利用したユニークな活力の取り戻し方を追求。著書「スーパーベターになろう」でそのノウハウを公開している。
日本のビジネスパーソンに充満するストレス。最悪のケースへ至ることも少なくなく、多くの悲劇も生んでいる。まさにストレスは「悪」。それが一般的なイメージだ。だが、ケリーは「それは思い込み。必ずしも悪いものではない。受け入れてうまく付き合っていくことが大切」と説く。そういわれても日本のビジネスパーソンが素直に受け入れることはないだろう。
ストレスは本当に悪なのか
「実はストレスは、過去のラットによる実験で悪い影響を与えるものということが報告され続けています。しかし、それはあくまでラットでの話なのです。人間には、好奇心があります。向上心があります。ストレスは実は、何かいいことがある前触れなのです。学び成長するきっかけとなるものなのです。マインドセットを変えることが大切です」とケリーは、ストレスが悪者にされた歴史を紐解きつつ、究極ともいえるストレス対策を公開した。

集まった聴衆も真剣に聞き入った
そうはいっても会社には、理屈の通用しないモンスター上司がいたりする。理不尽な要求に心が折れそうになる。それについてケリーは「本当は仕事を辞めるのが一番かもしれませんがそれは難しいですよね。まずいえることは、そうしたことは避けられないと受け入れること。その上で共感する部分を見つけ出す。上司だっていい仕事したいから言っているんだっていう風にね」。単なるポジティブシンキングではなく、嫌なことに対する受け止め方の抜本的なスイッチ。それが、ケリーのストレス対策の極意だ。
ゲームデザイナーのジェインにかかれば、ストレス対策は、もっと気軽で楽しいアプローチとなる。「絶望的な事態に出くわしたら、それはもう悲劇ではなくコメディーと思うのよ。そしたらイライラなんてなくって、結局はいい具合に回りはじめるの」。受け止める、でなく受け流す。さすが「ゲーマー」の発想だ。
ゲームが持つ大きな力
「ゲーマー」という言葉にもジェインには思いがある。「ゲームをしているときの脳は最高に幸せな状態にあるの。『ゲーマー』という言葉にはどちらかといえばマイナスなイメージがあるけど、アメリカでは何かにチャレンジするようなとき、アイムゲイムというの。つまり本当はもっと前向きな言葉なの」とジェイン。それを熟知するからこそ、ゲーム的発想によって活力を取り戻す方法も生み出せる。
「これからの世の中は、どんどん安定から遠ざかっていく。安定するためには、常に新しいことにチャレンジなくてはいけなくなる。だから、いつでも新たなコラボができるよう、SNSなどでつながって仲間をつくっておくが大切ね。いろんなアバターをつくって、レーダーを張り巡らせて、次のステップに移ってもすぐにスイッチできる準備をしておくの」。まさにゲームをするように仕事に取り組むことが、モチベーションをキープし続け、困難にも柔軟に対処でき、ストレスフリーでいられるということだ。
日本で初めて実現した姉妹対談。心理学者とゲーム―デザイナーという組み合わせだけをみれば、一見ミスマッチだが、ストレスや活力の回復をテーマにすると、見事に接点が見つかった。それは、困難にぶつかった時、それをどう受け止めるかで、それ自体がプラスにもマイナスにも作用するということだ。もちろん、前向きに捉え、受け入れ、楽しむくらいであるのが、「スーパーベター」なのは言うまでもない。
<マクゴニガル姉妹>
姉・ケリーはボストン大学で心理学、マスコミュニケーションを学び、スタンフォード大学で博士号(健康心理学)を取得。スタンフォード大学の心理学者。心理学、神経科学、医学の最新の知見を用いて、人びとの健康や幸福、成功、人間関係の向上に役立つ実践的な戦略を提供する「サイエンス・ヘルプ」のリーダーとして、世界的に注目を集める。妹・ジェインは、代替現実ゲーム(ARG)研究者。1977年、ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ。カリフォルニア大学バークレー校でパフォーマンス・スタディーズの博士号取得。現在は、カリフォルニアにあるシンクタンクIFTFのディレクターを務める。
「逆境から成長する力」を手に入れる。ストレスを避けるのではなく、受け入れてうまく付き合っていくことでレジリエンスが身につく。「思い込み」を変えることで「身体の反応」を変え、「選択」までも変えてしまう一生役立つ実践的ガイドブック。60万部のベストセラー『スタンフォードの自分を変える教室』から、3年ぶりの書き下ろし新作。
「スーパーベター」は全米40万人以上のユーザーが利用しているゲーム。アメリカで著名なゲームデザイナーである著者が、みずから負った大怪我により発症した片頭痛や鬱状態から回復するために開発した。なぜゲームをすることで、肉体的、精神的苦境から脱出することができるのか?本書ではその理由とともに、人生をもっと豊かにするための強さと勇敢さを養う、ゲームを活用したメソッドを具体的に紹介する。