2000人超の全社員のPCをBYOD化する皮算用
ワークスタイル変革加速の起爆剤
「私物のPCで仕事ができれば都合がいいのになぁ」。そう思っているビジネスパーソンは多い。会社支給のPCが物足りない、というより、何かと不便なのだ。機能の制限、持ち出し管理、使い勝手…。ネットワンシステムズ(株)は、そんなモヤモヤを一気に晴らす大胆施策で全社員約2,300人のPCをBYODに切り替える。
現場の要求が強いがなかなか実現できていない業務改善の筆頭といえるのが、私物PCの業務での活用。最大のネックはセキュリティへの懸念だ。私物ということでなにより管理が困難になる。顧客の重大な情報が入っている場合も多く、そんなことを許したら会社がつぶれる!と、大げさに忠告する担当者も少なくないだろう。
「弊社では2010年から仮想デスクトップを一部社員に展開し、2013年の本社移転を機に全社員に拡大導入することで、私物PCでもセキュリティを担保して業務出来る環境を整備しています。2014年4月からは、BYODを推進するために会社貸与PCと引き換えに私物PCのみで業務する社員に支援金として月2,000円を支給してきました。今回はさらにワークスタイル変革を加速するために社員に15万円を特別賞与として支給します」と同社。
新しい働き方普及への壮大な実証実験
丸の内のオフィスをショールーム兼用の最先端の“ワークスタイルラボ”とする同社にとって、自社社員での実践は、そのまま実証実験となり、クライアントへ紹介する際の最大のエビデンス獲得の機会となる。2000人を超える規模の社員で、BYOD化が成功すれば、ほぼ全企業に最先端のワークスタイルの提案が可能となる。それだけに、太っ腹のボーナスもお安い御用というワケだ。
私物PCの活用は、当然、大きなコスト削減効果にもつながる。PCの管理コスト、新規PC購入コスト、ウィルス対策ソフトやIT資産管理ソフトなどのライセンスコスト…など、会社が管理しなくなることで、関連コストがザックリ削減されることになる。
なにより、社員にとっては、使い慣れた私物のPCで業務ができることは生産性の向上の面で大きなメリットがある。同社では、成果にコミットすれば無制限で活用できるテレワーク制度やフレックス制度など、時間と場所にとらわれない働き方を実現する環境も整備されており、BYOD実現によって、それらは相乗効果でさらに有効となる。
テクノロジーの活用による新し働き方へのシフトはジワジワと進んでいるが、爆発力はない。セキュリティという大きな壁を、同社の実証実験で打ち破れば、ワークスタイルシフトのスピードが一気に加速する可能性は十分ある。今後の動向に大いに注目だ。