働き方

誰もがいつまでも働き続けられる「キャリアパスポート構想」とは

投稿日:2015年7月30日 / by

キャリアパスポート構想とは

会見に集結した吉田氏、松本氏、小笹氏

キャリアパスポート構想を発表した3人(左から吉田氏、松本氏、小笹氏)

(株)株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区 代表取締役会長:小笹 芳央 )と(株)クラウドワークス(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長:吉田 浩一郎 )は、(株) LiB(所在地:東京都渋谷区 代表取締役:松本 洋介)と資本業務提携を締結。併せて、3社合同で、全ての人が分け隔てなく、いつまでも活躍し続ける社会を実現する仕組み「キャリアパスポート構想」を発表した。

同構想は、その名の通り、ビジネスパーソンのキャリアを「パスポート」、就職先を「渡航先」になぞらえ、両者が相思相愛で自在に行き来できるネットワークシステムを構築するもの。これにより、ライフイベント等によるキャリア断絶をなくし、シームレスにずっと働き続けられる社会の実現を目指す。

「今回の構想の背景には、少子化による労働人口減少がある。大きな懸念は、介護負担の急速な高まり。これらを踏まえると、今後はライフイベントを抱える女性だけでなく、介護しながら働く必要がある人等、さまざまな制約の中で働く人が急増していく。これらを解決するにはキャリア断絶の起こらない就業機会や個人のキャリア情報が蓄積されていく仕組みづくりが重要と考えた」とLib松本代表は、構想発足の経緯を説明した。

ポイントは2つ。「キャリアの可視化」、そして、「多様性ある企業への啓蒙・育成」だ。前者を担うのが、Lib。同社は、2014年5月の創業だが、キャリア女性に特化した会員制転職サイト「LiBz CAREER」ですでに2万人以上の会員を獲得。急成長を遂げている。同社が、ビジネスパーソンの子育て歴、学習歴、就業歴…など、あらゆるキャリアを可視化し、ネット上に蓄積することで、企業に対し、職務経歴書とは一線を画す、さらに一歩踏み込んだ実績を提示するサポートを行う。

企業への啓もうを担うのは、リンクアンドモチベーション。これまでに数多くの企業の変革をサポートしてきた同社が、今回は企業の労働市場への適応を軸に、体質変革をアドバイス。とりわけ、女性活躍推進のボトルネックとなる、「年功序列」、「終身雇用」、「男性中心」の従来型キャリアモデルからの脱却を後押し。新たな経営指標も示し、具体的な行動にまで落とし込むことを支援する。

lib2

ビジネスパーソンと企業両面への働きかけにより、ずっと働き続けられる社会への土台を構築していくが、当然これだけでは十分といえない。そこで、こうした枠組みからあぶれた人材や過渡期にある人材をすくい上げる役割を担うのが、クラウドソーシングのクラウドワークスだ。同社が、子育てなどでリタイアしたビジネスパーソンなどを在宅ワーク等の提供でサポート。復職までのつなぎとしてはもちろん、非正規の場合は在宅ワークで自信をつけ、正社員へのステップアップの道を拓いていく。

無限の可能性秘めるプロジェクト

「我々が実行するキャリアの可視化だけでは構想は絵に描いた餅でしかない。だから、“渡航先”となる企業の啓もうも同様に重要になる。現時点ではまだ構想の段階だが、賛同企業があれば、どんどん加わってもらい、より大きなものにしていければと考えている。例えば、資格系の企業などに加わっていただき、キャリアアップの部分で関与いただくということも考えられるし、人材企業と情報を共有することもありかもしれない」とLibの松本代表は、新たな社会実現へ先を見据える。

子育て歴までもキャリアとしてカウントし、求・転職者をガラス張りにする同構想。そこまで分かれば、企業側も確かに採用はしやすくなる。だが一方で、それだけで労働市場がいい形に流動的になるとは思えない。より多くの企業が、多様な働き方を受け入れる体質に変革していかなければ、キャリア可視化も宝の持ち腐れとなる。

現時点では、構想を実現するための強力な武器がLibに十分に揃っているとはいえない。業務提携により、ぼんやりとその道筋が浮かび上がったに過ぎない。それでも、今回調達した2億7,000万円をもとに、マーケティング強化、転職に留まらない女性向けキャリア支援サービスの提供、機能拡充などを行い、一層のサービス価値向上を図る。そして、10月をめどに、構想の具現化へ向けたアクションを本格化させる。その時、どれだけの練り込みが行われているか…。それが、構想のスタートダッシュのカギを握りそうだ。

 

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