働き方

増殖する非正規→「正社員」の実態

投稿日:2015年5月22日 / by

雇用シフト ~雇用流動化時代にフィットしたポスト正社員のカタチ~ 【その弐】

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正社員が減って「正社員」が増える

「正社員」の定義を、<雇用が定年まで保証された労働契約>とするなら、これは企業の思惑とは関係なく、今後確実に減少していくだろう。大きな原因は、人口減少だ。

人口が減ることで国内市場は縮小する。結果、企業の業績が下がる。雇用ニーズが下がる。つまり、定年まで雇用したくても、企業の体力も低下し、とても保証できる状況ではなくなる。社員の定年まで企業が存続するだけの体力が十分にあった時代なら、「終身雇用」という言葉にも説得力があったが、もはや死語といっていい。

そうした中で、パート・アルバイトの正社員化が加速している。市場環境に逆行しているように見える動きだ。ところが、そこに「終身雇用」という意味合いはまるで感じられない。企業はそのつもりなのだろう。しかし、それ以上に給与の安定化や昇進、福利厚生面での厚みを増すといった側面が強いといえる。それでも十分にやりがいはアップするだろう。だが、いわゆる高度成長期の「正社員」と同列に語れるかといえば微妙なところだ。

変質する正社員の実態

現状でもパート・アルバイトから社員登用というラインは存在する。従って、優秀であれば、ステップアップは可能だ。だが、そうした中では優秀な人材はどうしても限られてしまう。そのパイを少しでも広げるための施策としての正規化だとすれば、理にかなっているといえる。本当に優秀な人材は、幹部候補にもなりうるし、「どうせバイト止まり」と諦め気味の人材にとっては、正社員という形態への格上げで、モチベーションが大きくアップする可能性があるからだ。

これまでは、就活に象徴される厳しい競争の中で勝ち取る“特権”のような存在だった「正社員」という形態。いまだ、安定した雇用形態に変わりはないものの、絶対的な安心感のある響きではなくなりつつある。つまり、寿命が縮んだ企業と一心同体となる契約ということだ。社員が頑張れば企業も安定する。社員が頑張らなければ企業は転落する。企業に弱体化によって社員の関係が対等に近づくことで、社員への責任が増大。その負担分を加味した厚遇保証契約、それが昨今急増する非正規上がりの「正社員」の本当の姿といえるだろう。(第三回に続く)

その壱:“正社員時代”は終焉したのか

 

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