
最新のものづくりが押し広げる職業の可能性
デジタルとリアルの融合が生み出す次世代型ものづくり

最新のモノづくりではデジタルとリアルを交互に行き交うことでより創造性の高いプロダクトが創りだせる
リアルとデジタルの融合--こうしたフレーズはいまやどの分野でも当たり前のように聞かれる。モノづくりにおいても例外ではない。「日本ものづくりワールド2015」(6月24日~25日=東京ビッグサイト)で披露された、最新のデジタルものづくりから、その凄さや可能性を検証する。
3年ほど前に注目され、以来、着実に裾野が広がるデジタルものづくり。その基本的なイメージは、3Dスキャンで物体をデジタル化し、そのデータを3Dプリントで実体を成型するというものだ。いわば、2次元スキャンの3次元版である。
最新のモノづくりでは、この一方通行が、双方向へと進化し、よりクリエイティブなものづくりが実現している。例えば、カップのオリジナルホルダーを制作するとする。その場合、まず、コップをデジタルスキャニング。その画像を今度はデジタル加工し、取っ手の接着場所やデザインを決める。最後にそれを、3Dプリントする。できあがったモノに今度は、クレイで加工し、さらにデジタルスキャニングして、プリントする。
こうしたサイクルを繰り返すことで、自在に効率的に好きなデザインを形成できる。これが、リアルとデジタルを融合した最新のものづくりだ。イメージとしては、デジタル空間の中に、リアルが入り込み、相互に行ったり来たりする感覚かもしれない。単なるプリントではなく、プリントしたものにさらにリアルで加工する。こうした双方向性により、よりクリエイティブでオリジナリティあふれるものづくりが可能になる。
「個々の機器は最新ではありませんが、当社の包括的なプロダクトファミリーにより実現したデジタルスレッドを使うことにより、こうした未来へ向けたものづくりが可能となるのです」とスリーディー・システムズ・ジャパンの担当者は説明する。
“デジタルクラフトマン”が新たな職業人として誕生?

モノづくりの可能性を無限に広げる最新のテクノロジー
上記作業は、これまでのならそれぞれが独立的であり、膨大な手間と時間を要した。それが、最新のものづくりでは、効率的に短時間で実現する。既存物のコピーで広がりを見せたデジタルものづくりが、さらに進化して、クリエイティビティも追求できる。こうなると、才能ある人はもちろん、そうでない人も、潜在的な能力をデジタルによってよって引き出してもらいながら、あっと驚くプロダクトを生み出すことも夢ではなくなる。
動画の世界ではYuTubeによって、一般の人がYuTuberとして“プロ化”する事例が広がったが、よりハードルの高いモノづくりの世界でも、今後、“デジタルクラフトマン”が増殖する可能性はある。もちろん、クオリティやオリジナリティ、クリエイティビティによって、収益化も十分可能だろう。テクノロジーの進化により、好きや得意を仕事にできる可能性はさらに大きく拡がっていく――。