
ジワジワ台頭してきたフリーランスの未来
雇用シフト ~雇用流動化時代にフィットしたポスト正社員のカタチ~ 【その伍】
深化するフリーランスのこれから
雇用の形が揺らぐ中、着実にその地位を上げているのがフリーランスだ。かつてのフリーランスは、自由は謳歌できるが、とにかく不安定、という印象。社会的に認められるようなものでは決してなかった。だが、昨今は、堂々と「フリーランス」と名乗れるほどにその認知度も上がっている。
大きな要因は、テクノロジーの進化だ。ネット上で案件とマッチングできるクラウドソーシングが拡大したことで、フリーランスのネックだった、仕事探しが格段に楽になった。簡単に言えば、ネット上に登録しておけば、仕事のオファーが来るのだ。一件仕事をとっても次はいつもらえるか分からない…。そうした状況をクラウドソーシングが一変させたことで、フリーランスは「不安定」という課題をクリアした。
もっとも、人材派遣や契約社員のように仲介者がいるわけでも、顔が見えるわけでもないクラウドソーシングでは、実力が全て。最初の注文を受けるまでも一苦労するが、クライアントの要望に十分に応えられなければ、次回はすぐに別の人に替えられる厳しさがある。突き詰めれば、会社員以上に、安定のために競争にさらされる形態に深化したともいえる。
変クラウドソーシングが後押しするフリーランスの地位向上
それでも時間にも場所に縛られない働き方は魅力的で、大きな勢力になりつつある。クラウドワークスとランサーズのクラウドソーシング2トップの登録者数は100万人弱に及ぶ。この中には、会社員が副業として登録している人や主婦も少なくないので、純然たるフリーランスの数とはいえないが、それを稼ぎのメインとする“プロフリーランス”は少なくとも20万人以上は確実にいるハズだ。
昨今は、従来なら企業にとどまっていたような優秀な人材も、フリーランスを選択するケースが増えており、こうした動きもフリーランスの地位向上に貢献しているといえる。その背景には、正社員として1つの企業の属することの限界も見え隠れする。業種にもよるが、いまや、実力があれば、仕事はいくらでもある。正社員よりも稼げる市場ができあがっているのだ。
ランサーズは「年収500万のランサーを1万人」と目標を掲げる。その実現への道のりは、まだ先になりそうだが、それが実現した暁には、「フリーランス」も晴れて、正社員に準ずる、立派な雇用形態のひとつとして定着することになるだろう。(第六回に続く)
過去の雇用シフト