働き方

新しい働き方の先にあるもの

投稿日:2015年3月9日 / by

新しい働き方を推進するイベントを開催

左から石田氏,南氏,佐々木氏

左から石田氏,南氏,佐々木氏

「新しい働き方」を推進するイベント「Re:WORK」が、先ごろ都内で開催された。先端を行くエキスパートやビジネスパーソンによるトークセッションを中心としたアウトプットには、これからの働き方を考える気づきやヒントが散りばめられ、集まった約200人のビジネスパーソンのマインドを強く刺激した。

人口減少やテクノロジーの進化などを背景に、年功序列、終身雇用制、長時間労働など、従来の働き方では成り立たなくなりつつある日本社会。そうした中で、職場では個々人がどう働くのかに自ずと視点がシフトし始めている。イベント前半では、先端を行く経営者やエキスパート、後半では新しい働き方を実践するビジネスパーソンのトークッションが行われ、働き方のいまとこれからが語られた。

前半ではフリーで執筆活動を行う佐々木俊尚氏、女性の働き方を支援する「STRIDE」の石田裕子代表、スキルのマーケットプレイス「ココナラ」を運営する南章行氏がトークセッション。これからの働き方について語った。「10年後の働き方」というテーマでは、佐々木氏は「コミュニティ化し、緩いつながりが重要になる」と予測。南氏は「滑らかになっていく」と表現。石田氏は「より個人の働き方が重要になっていく」と見通した。

予測というよりも、すでに動き始めている状況がより深化するという文脈で語られたが、それらの言葉を集約すると、働き方はまず、個人のマインドの変化に始まり、企業の常識が変わり、結果、労働社会における従来の枠や壁がなくなる。それにより、企業や組織という壁で囲われていた人材が一気に流動化し、個々の意思やニーズに沿ったところへ流れ着く、というイメージだ。

意志ある個人にとっては、願ったりの状況といえそうだが、もちろんそういう人ばかりではない。もうそこまでやってきているそうした時代に、どんな“武器”が必要となるのか。佐々木氏は「ズバリ言えばそうした働き方ができる人は数%。結局は今やっている仕事の延長線上でしか考えられない」とまずは今を大事にすることを指摘。南氏は「スキルは不要。大事なのはやり抜く力」と経営者としての目線でアドバイスした。石田氏は「私もスキルじゃない。やりたいことへ明確な意思が重要」とメッセージを送った。

新しい働き方は人生と密接にリンクしていく

3人のエキスパートが、大きな枠でこれからの働き方の方向性を示した前半から、後半では実際に従来の働き方と決別したビジネスパーソンが登場。どうやってそうした状況を手にしたのかを明かした。

 rework2大手企業でのマネジメント職と決別し、パラレルキャリアを実践する中村龍太氏は「転職を考えたときに前職の報酬がよかったこともあり、厳しかった。そこで掛け持ちすれば補てんできると考え、交渉した」と実現した経緯を明かした。大手企業からベンチャーへ転職を果たした石黒卓弥氏は「会社には何の不満もなかったが、長い会社員人生を考えたとき、もっと自由にいたいと考えて」と当時の心境を語った。会社員と非常勤国家公務員の二足のわらじを履く小和田香氏は「数年前病気になり、その時にネットを通じ、いろいろなつながりができた。その流れの中で今に至っています」と療養中もネットで社会とつながり続けたことでいまがあるとしみじみ話した。

いま、充実の日々を送る3人に共通するのは、自分がどうありたいかを考え、そこから働き方に落とし込み、自らの手で勝ち取ったということだ。それはもはや、会社という枠を超え、どんな生き方をしたいかというより大きな領域のひとつのパーツとして、働き方を捉えたといえるだろう。その意味では、新しい働き方を考える基軸は、今後、単なる会社の良しあしから、自分の人生をどう輝かせるかへとシフトしていくといっていいのかもしれない。

ゆっくり着実にシフトが進む働き方にあわせ、新たなプラットフォームも整いつつある。「パラフト」は、まさに多様な働き方からを企業を選択できる正社員転職メディア。「サンカク」は仕事を辞めずに成長企業の経営に参画できるという従来の常識では考えれないサービス。「LiBzCAREER(リブズキャリア)」は、過去の最高到達年収が 400 万円以上のハイキャリア女性が、年齢やライフイベントに合わせた正規雇用の働き方 を選べる転職支援サービスだ。いずれも、現状に不安のあるビジネスパーソンにとって、使うことで未来が切り拓ける新時代にふさわしい人材サービスとして急拡大しており、次世代の人材インフラとして期待される。

個人が企業が、そして社会がいま、「働き方」というテーマを軸に大きく変わりつつある。働くことは、生活のため。そればかりは変わらないが、出世や高報酬が全てという時代は、事実上終焉した。今後、「働き方」はより生き方と密接に関連したテーマへとシフト。個々の人生と深くリンクすることで、結果的により多様化していく――。もうすぐそこまで迫っている現実の一端が垣間見れる、タイムリーで意義深いイベントとなった。

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