働き方

より限定的になるジェネラリストという何でも屋

投稿日:2015年9月25日 / by

『新しい働き方の教科書』<Lesson8>

ジェネラリスト志向の弊害

何でも任せなさい、が企業弱体化の元凶?

何でも任せなさい、が企業弱体化の元凶?

正社員の最大の弊害といえるのが、ジェネラリスト志向だ。つまり、明確な職務による採用でなく、学歴や資質による採用であり、何でもやることが“職務”ということだ。部署を数年ごとに変わることは当たり前で、本業以外の雑務や業務も当然のように課せられる。こうしたことは、幅広い業務に携わり、会社の全体像を知る意味では効果がありそうだが、専門性の研磨や生産性向上を考えるとデメリットが多く、その効能は微妙だ。

一番の問題は、責任の所在が不明瞭になることだ。例えば、ある業務で失敗したとする。専門家ではないものの、それなりに知識はあるので関わったが、不十分だったためにトラブルが起こった。その場合、悪いのは確かに当該の人間だが、一方で仕組みによる問題という側面もぬぐえない。従って、責任は他部署へ飛ばす、ということで帳尻を合わすことも珍しくない。本来なら、失敗の原因を徹底追求し、さらにスキルアップを図るのが正しい解決策だが、マルチにこなせる仕組みができあがっているため、とりあえず、他部署で事実上の“休眠”をして、熱を冷ますことになる。

事なかれ主義とはいわないが、こうしたシステムが、目に見えないものとしては、従来の働き方の最大の負の遺産といっていいかもしれない。なぜなら、この仕組みでは、職業人として最も重要なプロ意識を養えないからだ。責任逃れの組織の論理だけが蔓延し、肝心の個々のスキルアップは置き去りにされ、トラブル対処というどうでもいいノウハウだけが身についてしまう。悲劇でしかない。採用面でもピントがぼやけがちになり、メリットが少ない。

職をベースにした人材見極めのシフトがカギ

対処策は、明白だ。ジェネラリスト志向を撤廃し、あくまで職人としての採用に絞るのだ。いわゆるジョブ型社員というやつだ。設計士として、営業のプロとして、デザイナーとして…職務をベースに人を雇う。履歴書には学歴でなく、出来ることを記述する。企業は、必要な職を持った人間を採用し、そのレベルによって報酬を支払う。そうすれば、正社員の報酬問題もクリアされ、プロ意識も養われ、企業は健全な発展を遂げる体制を築けるハズだ。

何でもやってもらう。その代り、月給は無条件で払う。ではなく、なにをやるからそれに対していくら払う。そうなれば、社員は自身のスキルを磨くことが報酬アップにつながるため、モチベーションがアップする。企業もそれをサポートすることが、製品やサービス力アップにつながる。それが明白だから、企業は人材をコストでなく「財」とみれ、投資として資金を使うことにも躊躇がなくなる。学生時代の学びも自ずと職と紐づき、質が向上する。
◇ポイント 次世代の働き方では必要最小限になるジェネラリスト
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