働き方

働き方変革の祭典からみえた近未来の職場

投稿日:2015年7月8日 / by

心・技・体の観点で職場の未来を予測

wsexpo総務・人事ワールド2015開幕

職場は、従業員にやさしいのが新しい--。「ワークスタイル変革EXPO」が2015年7月8日開幕(~10日=東京ビッグサイト)した。2回目となる今回は、リモートワーク系のシステムが目立ち、規模も拡大。働き方のシフト加速を印象付けた。そうした中、瓦版では、次世代の職場を「心・技・体」の観点で予測。着実に進む新しい働き方のそう遠くない未来像を展望する。

【心】エンタメ鑑賞

2015年12月からストレスチェックが義務化される。深刻化する労働者のメンタルケアに国も本腰を入れて対策に乗り出している格好だ。もっとも、職場でメンタルチェックや産業医にかかわるのにはやはり抵抗がある。そもそも、ストレスが溜まらない職場にする方が健全だ。そこで瓦版が着目したのが、エンタテイメント。最近は、エンタメ関連の福利厚生サービスが、ジワリと広がり始めているのだ。

歌舞伎座では、法人向け年間シートを販売する。通り一遍の福利厚生とは一線を画す、まさに粋な施策といえる。グローバル展開を視野に入れる企業なら、社員へ改めて日本文化への接点をつくることができ、意義も大きい。同時に、海外のクライアントの接待等に使えば喜ばれ、商談の成約率が高まることは必至だろう。この年間シートを押えておけば、どんな人気チケットでも必ず入手できるというから、その価値は値段以上に高いとえいる。

もっとカジュアルに、従業員のストレスを発散させるエンタメ系福利厚生サービスもある。エイベックス・ライブ・クリエイティブの「aTicket(エーチケット)」だ。同社が企画する音楽ライブ、コンサート、舞台、サーカス、スポーツなどを優待価格、先行販売の特典で利用できる。コストも基本かからず、手軽に導入できるので、担当者にはありがたいだろう。これが福利厚生として導入されれば、いわば会社公認でオフを満喫することも可能になる。好きなミュージシャンのコンサートに行くために、超早送りで仕事をこなす必要がなくなるどころか、むしろ堂々といける。ストレスが溜まりにくくなるのは間違いないだろう。

【技】人型ロボット

自給1500円といわれるペッパー君、この日は無休で大活躍

カメラを向けると「可愛く撮ってね」とペッパー君。時給1500円といわれるが、この日は“無給”で大活躍

テクノロジーの進化で、働き方は格段に効率的になった。究極は、ロボットの職場進出だ。ペッパー君がソフトバンクから一般販売されたのは記憶に新しいが、すでにロボット従業員として、着々と進化を果たしている。M-SOUTIONは、iPadを使ったペッパーの受付業務サポートシステムを開発する。あいさつや簡単な接客はもちろん、個人情報収集やアンケート調査などを行える拡張性もあるという。

この日、同社のブースで来訪者の対応をしたペッパーはさすがに人気者。次々やってくる訪問者相手にしっかりと役割を果たしていた。ちなみに、この日の給与は「電気代だけです」(担当者)とほぼ無償。実際に企業が活用するには、約20万円のペッパー本体に加え、月2万円からの同社の連携オプションサービスが必要となるが、それでもその仕事ぶり、文句ひとつ言わない忠誠ぶりを考えれば安いものだろう。ペッパーを司る連携オプションはどんどん進化していくので、その活躍フィールドは増え続け、今後、人型ロボットがいい形で人と仕事をやりくりすることで、ワークライフバランスの充実した働きやすい職場が実現していきそうだ。

【体】立ちデスク

高さは自在に調整できるので、座っての仕事ももちろん可能

高さは自在に調整できるので、座っての仕事ももちろん可能

健康経営がこれから経営のトレンドなりつつあるが、「働く姿勢」が健康に大きな影響を与えることはあまり注目されていない。オフィスワークといえば、「座って」が当たり前。だが、長時間の座った姿勢は、健康に良くないどころか、寿命を縮めかねないという。できれば、1時間に一度は、立って休憩などを取るのが好ましいといわれる。さらにいえば、立って仕事をすれば、なおいい。

アメリカに本社のあるエルゴトロンは、早くからその効用に着目し、日本でもいち早くスタンディングデスクを展開している。長年、立ちデスクで業務している同社担当者は、その効用について「これです」とシェイプされたおなかを指さした。立っているだけで座っている時の2、3割カロリー消費に差が出るともいわれ、まさにそれを実証している。ちなみに、その際、業務時間の7割以上は立って作業をしているという。

欧米では、この立ちデスク、かなり普及しており、その効力が広く浸透している。生産性向上に関するデータ収集も進められており、今後、日本でもそうした知見とともに大きく広がりそうだ。この夏には、有名企業が引っ越しに伴い、1万人以上の従業員全員のデスクを立ちデスクにするという情報もあり、一気に潮目が変わる可能性もある。働く姿勢は、知らぬ間に体にストレスを与えている場合もあり、軽視できない。「多様性」の中に、「働く姿勢」も含まれるのは時間の問題といえそうだ。

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