働き方

あなたはアマチュア? 「プロ会社員」に空前の“モテキ”が到来

投稿日:2016年2月10日 / by

人材流動化時代のキーマン“プロ会社員”

会社員にも本格的なプロ化時代が到来した。高齢化による人口減少で人材不足が深刻化。そこへ産業構造の変化も加わり、いま、人材流動化は激しくなっている。ただし、スムースにこの流れに乗れるビジネスパーソンはごくわずかだ。限られた“プロ人材”のみが、この恩恵にあずかることになる--。

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プロ人材を受け入れる柔軟な制度が増加

日本全体で人手不足が叫ばれている。だが、多くのビジネスパーソンは思っている。「そんなにおいしい話は聞こえてこないぞ…」。その理由は、簡単だ。確かに人手は不足しているが、不人気業種や高いスキルが求められる部門に集中しているからだ。血流でいえば、全体は勢いよく流れたいのだが、動脈硬化で流れが滞っている状態だ。

企業にとって、この状況を打破するのは簡単でない。ライバル企業も同様に有能な人材が欲しいからだ。欲しい人材がいても採れない…。そこで昨今、増加傾向にあるのが、契約形態の工夫で、有能な人材の“一部分”とつながることだ。

(株)モブキャストが導入する「プロ契約」は、こうした潮流に合致した、企業、労働者双方にメリットのある人事施策といえる。高いスキルや実績を有する人材を対象とするこの制度では、契約後、当人の自己管理で働くことが可能となる。週一日勤務など、全てが自分の裁量に任せられ、他の活動があっても支障なくジョインできる。

ゲーマーとプロ契約を締結したことを発表するモブキャスト福元健之CVO(右)

ゲーマーとプロ契約を締結したことを発表するモブキャスト福元健之CVO(右)

報酬については基本、定額で支払い、成果報酬を組み合わせる。これは、すぐれた能力なら高い成果が期待されるため、その成果に対し、最大限に報いるためだ。つながり方は“一部分”だが、そのつながりを最大化すべく、考え抜かれていることが、この報酬システムから透けてみえる。すでに優れたスキルやキャリアを有する人材と契約を結び始めており、同社では2016年度内に30人のプロ契約締結を目標としている。

職場を盛り上げる取り組みを評する「グッドアクション」で表彰されたLibの独自制度

職場を盛り上げる取り組みを評する「グッドアクション」で表彰されたLibの独自制度

Libの「メンバーシップオプション」は、他社在籍中の社員や企業経営者、海外在住者などでも、現職を辞めずに受け入れる制度。急成長中のスタートアップである同社が、求職者の離職リスク等を考慮した上で、最大限の恩恵を与えられるよう設計した新しい雇用のカタチといえる内容だ。この制度で、“社員”になると、名刺やアドレスの発行、オフィス環境の開放、備品配布、会議や研修への参加権が得られ、さらにストックオプションの配布対象にもなり、まさに成長ベンチャーの一員として、全てを共有できる。

地方転職手も引く手あまたの“プロ人材”

上記2つは、これから増大が予測されるパラレルキャリアに適した企業側の動きといえる。一人の人間が、3枚、4枚と複数の名刺を持ち、さまざまなプロジェクトに関わる。企業にとっては、優秀な人材とつながり、ビッグプロジェクトを推進でき、働く側にとっては、不透明な時代を生き抜くリスクヘッジと能力の最大化となり、双方に大きなメリットがあるだけに、今後ますます増大しそうだ。

広島県はビズキャストと提携しプロ人材獲得に本腰

広島県はビズリーチと提携しプロ人材獲得に本腰

地方転職の文脈でも“プロ人材”獲得の動きは活発化している。首都圏以上に疲弊する地方にとっては、会社を変革するほどの有能な人材がのどから手が出るほど欲しい。だが、有能な人材は首都圏に集中。そこで、安倍政権の後押しもあり、動き始めたのが「プロフェッショナル人材事業」だ。地域が民間の人材ビジネス事業者等を通じ、“プロ人材”獲得に目を光らせている。実行となると、移住を伴うだけに、その壁は低くないが、“プロ人材”にとって、強烈な追い風が吹きつけていることを象徴する動きといえるだろう。

プロ育成に企業が目をつける副業の副産物

採用する動きだけでなく、内部で“プロ人材”育成につながる仕組みを導入する企業も増えている。副業の容認だ。容認どころか、「専業禁止」を謳うエン・ファクトリーは、その狙いを「会社のビジョンがつながって縁をつくること。だから、副業でつながった縁を自社に還元してくれればいいんです」と明快に説明する。実際、社内には多くのスペシャリストが生まれ、事業に相乗効果をもたらしており、プロ集団として、成長を加速している。

サイボウズはプロ人材が存分に活躍できる柔軟な職場環境だ

サイボウズはプロ人材が存分に活躍できる柔軟な職場環境だ

自在な働き方、ウルトラワークで知られるサイボウズも副業を解禁している。その理由はシンプルだ。「個人で簡単にビジネスしやすい状況で気にしている方がナンセンス」。もちろん、会社の資産を毀損するものや社名を使う場合は自己申告が必要など、条件はあるが、なんとも寛大だ。同社ではさらに、独立支援制度も検討している。理想の人事制度が「100人いたら100通り」という時点で、“プロ人材”の集合体を目指していることは明確で、最先端の働き方を実践する企業ならではの柔軟性といえるだろう。

会社で働いてお金をもらっているからプロ。そう思っているとしたら大きな勘違いだ。プロとしての会社員は、自ら仕事を創りだし、そして会社に利益をもたらす人材だ。もちろん、クライアントに予想を超える喜びと感動を与えることも重要だ。そうした人材が本当のプロフェッショナル。これまで当たり前のようにそうやって仕事に取り組んできた“プロ会社員”にとってはいま、自分のチカラを最大化するにはの空前の好機が到来している。

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