働き方

ICTの進化で新たな意味を持ち始めた「学び」

投稿日:2014年5月21日 / by
webサイト

http://gacco.org/

進化する「学び」の最先端

黒板が電子黒板に変わり、教科書がタブレットになり、個別学習はICT技術が主導する…教育環境が次世代モデルへと着実に進化している。テクノロジーの進化に比例して変貌する「学び」のスタイルは、時間や場所の概念をなくし、さらに学校の垣根も取り払い、新たな意味を持ち始めている。


採点も電子化へ

タブレット型の電子教科書の最先端技術では、“工場見学”が可能だ。端末に保存された工場の動画をみれるだけでなく、ジャイロセンサーを使い、向けた方向へ動画内部が連動し、まるでそこにいるかのような臨場感を味わえる。電子黒板は、タブレットと連動し、タッチ対応で、自在に文字や絵を描くことができる。3Dプリンタを活用する教育ツールもある。(株)進学研究会と(株)ソフトウエア・サイエンスは、共同で答案用紙をデジタルで効率的に処理する業界初の採点電子化システムを開発した。

教育現場に革新をもたらす学習ツールの電子化。こうした動きは、単に効率化だけの話にとどまらない。総務省の調査では、「言葉や文字」と「イラストや映像」では若年層ほど、後者の方が理解しやすいという結果が出ている。また、ある調査では、1分間の映像には文字情報に換算して180万文字の情報伝達力があるともいわれ、その学習効果は飛躍的に高まることが期待される。なによりも新時代へ向け、若者がより創造的な思考を育むことに貢献する。

最大のインパクトは学習のオープン化

着実に進化するツールが、学習にもたらす効果は計り知れないが、それ以上に大きな可能性を秘めるのが、学校のオープン化だ。大学教師陣の本格講義を誰もがオンラインで、しかも無料で受講できるサイトして2014年2月3日に開設されたMOOC(※)提供サイト「gacco」。第一弾講座として4月14日に開校した東京大学・本郷和人教授の講座には、なんと2万人が登録した。

「米国を中心に英語で提供される『グローバルMOOC』edxが、開設初年度に1講座平均5.3万人だったことと比較しても、日本を中心とした『地域MOOC』の『gacco』の講座が、開設から3か月で当初の目標5,000人を大きく上回る2万人の受講生を獲得したことは重要な意味を持ちます」とgaccoを提供するNTTナレッジ・スクエアは、その反響の大きさに驚く。

ICTの進化で変貌した「学び」の意味

第5回教育ITソリューションEXPO(EDIX)

第5回教育ITソリューションEXPO(EDIX)には最先端の教育IT関連サービスがズラリ揃った

市場調査会社の調べでは2020年までの教育用ICT機器(教育用電子黒板、タブレット端末など)の国内市場は2013年の15倍近くにまで膨れ上がるとの試算もある。それに比例して、学校のオープン化も加速度的に進むことは確実な情勢だ。

いつでも、どこでも、誰もが、学習できる環境が整備されたことで、「学び」の意味は変わったといえる。若年層はもちろんだが、本人のやる気さえあれば、本当に学びたいことを学びたいところで、格安で学ぶことが可能となったのだ。学生時代、家庭の事情で十分な教育を受けられなかった高齢者や会社員として日々仕事に追われつつも勉強したいことが見つかり悶々としているワーカー…。定年70歳越えも確実な情勢の中、2度目の「学び」も珍しくなくなり、それが人生の再設計へとつながる時代へと大きくシフトしつつあるといえそうだ。

※ MOOC:Massive Open Online Coursesの略。Web上で誰でも無料で参加可能な、大規模かつオープンな講義を提供し、修了者に対して修了証を発行する教育サービス。2012年より米国を中心として、主要大学および有名教授によるオープンオンライン講座として公開され、世界中から1,000万人以上が受講している。

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