働き方

大きく変化する社内SNSの役割が示す予兆とは

投稿日:2015年12月9日 / by

コミュニケーションからイノベーションへ

ワークスタイル変革が強く求められる時代に突入した。産業構造の変化で既存の働き方では、十分な効果が得られなくなっているからだ。さらにIoT(モノのインターネット)が拡大する中で、従業員のパフォーマンスの最大化が大きな課題になりつつある。そうした中でいま、社内SNSが、再脚光されはじめている。

社内SNSの変化を解説する小石氏

社内SNSの変化を解説する小石氏

従来のビジネスモデルで順調に業績を拡大し続けることが難しいことは、ほとんどの企業が気付いている。特に軽快に舵を切りづらい大企業は、迫りくる危機を背中にズシリと感じ取っている。だが、座して死を待つわけにはいかない。なんとか、風土改革し、社員のパフォーマンス最大化を進め、次世代へ突き進むべくあえいでいる。その兆候の1つとして、社内SNSの役割の変化があるという。

「従来の社内SNSは情報探索時間や業務処理時間の短縮、情報伝達コストの削減が主な用途でした。しかし、昨今は、イノベーションを求め、新製品開発のアイディア募集や、風土改革を実現するツールとしてその軸足が移っています。IoTが拡大し、画一的なアイディアでは太刀打ちできなる中で、今後さらにさらにその傾向は強まると考えられます」。こう指摘するのは、Beat Communicationの村井亮代表。同社は、10年以上社内SNS運用実績があり、大手企業への導入も成功させている。

5年ほど前に大きく拡がった社内SNSは、メールや電話に代わるコミュニケーションツールとして注目されたが、思ったほど定着しなかったのが実状だ。だが、いまや、企業にとって従来のビジネスモデルからの脱却が大きな経営課題となっている。全社員が結束し、この窮地に立ち向かわなければ、大きな波に飲み込まれかねない。そうした危機感が後押しとなり、社内SNSの活用シーンが変化しているのだ。

ある大手企業は社内SNSでアイディア募集し、予想を上回る投稿を集めた。別の大手は、社内SNSを活用し、社内表彰に還元。その授賞式をネット動画で全社員で共有し、モチベーション向上につなげた。単にコミュニケーションに留まらず、社員のやる気を刺激し、能力を引き出すツールとして、社内SNSが見直されつつある。

「FacebookやLINE等でなじみがあるように、SNSはすでに多くの人にとって普通に使えるツールとして普及しています。その手軽さに加え、オープンさは、メールや電話のように一方通行で終わらず、知見やノウハウの共有に適しています。もはや部署内だけの情報交換では、市場の変化に対応できない時代。そうした中で、SNSはいろいろな部分で都合がよく、見直されているのだと思います」と同社広報部の小石裕介氏は解説する。

実際、同社の顧客からは、メールやポータルサイトでは現場からうまくアイディアが集まらないといった相談が寄せられているという。そこでそうした課題に対応し、同社が新たに開発したのが「ビートアワード」だ。社員のアイディア募集のための社内表彰制度システムとしてチューニングし、リアルでのフォローと一体化させたパッケージサービスとして、次世代型社内SNSの活用を後押しする。

利用イメージ

ビーとアワードの利用イメージ

長年の実績が蓄積されているだけに、同社の社内SNS運用ノウハウはきめ細かい。例えば、全社的に活用となると、こうしたツールの場合、どうしてもやらされ感が出がちだが、最初のメッセージの発信元を工夫することなどで、社員が自然に取り組めるよう配慮する。あるいは、社内表彰と連動する「いいね」の“組織票”防止のためにボランティアを活用し、さりげなく監視するなど、社内SNS活用の最大化を妨げる事案を未然に防ぐ様々な対応策を用意し、社内SNSを単なるコミュニケーションツールから経営課題解決ツールにまで昇華させている。

こうした動きが今後、ツールの活用と並行しながら、組織編制にまで及ぶのは必至だろう。組織間の壁は自然になくなり、よりフラットに。そして、人員は流動化し、活動はプロジェクトが基本単位となる。さらに、その潮流は企業間、個人間にも拡がり、業種・業態を超えたところにまで及ぶだろう。社内SNSの役割変化は、それだけをみればほんの些細な兆候でしかない。だが、次世代の働き方へシフトする大きなうねりへとつながっていくことは間違いなく、その動向は大いに注目される。

 

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