働き方

新しい働き方へのシフトで不要になること

投稿日:2015年9月18日 / by

『新しい働き方の教科書』<Lesson6>

政治力はもはや過去の遺物に

sycophas正社員という契約が生み出した副産物は少なくない。ゴマスリや接待は、定年まで保証してくれる経営者に対する下心以外の何物でもない。年功制については、副産物というよりはセットといっていいだろう。定年が決まっているのだから、そこへ向かい、年々地位が上がる。極めてシンプルだが、主に時間の経過だけがステップに連動する発展性のないスタイルだ。

敗戦から奇跡の復興を遂げた日本は、上の命令に絶対、という体質を体に染みつけた。アノ屈辱があったから、多少の理不尽にも耐えられたのだろう。だから、軍隊のようなヒエラルキーにも自然に馴染めたのかもしれない。なにより、統制のとれた組織は、大量生産にうってつけだ。右向け右は、大量生産する上で、最上の生産性を生み出す組織体系といえるだろう。

だが、このシステムにも大きな欠点がある。とにかく上の命令に従うことが重要だから、当人が頭を使う機会が激減する。何をするにもまず上司の指示を仰ぐ。ともすれば思考停止にもなりかねない。従って、危機に直面すれば、極めて脆い。優秀な司令官がいれば、何とか対応はできても、常にそういうトップが君臨するとは限らない。こうした状況が、日本の世界一君臨を支えた反面、柔軟性を大きく失わせた元凶といえる。

なぜ多様性が叫ばれるようになったのか…

極めて効率的に大量生産を実現し、大国となったまではよかったが、成功体験がべったりと染みつき、おまけに思考力が低下した日本に他国の追随をかわせるはずはなかった。あれよあれよという間に世界一から滑り落ちた日本は、もがき苦しみながら試行錯誤を繰り返したが、トンネルの出口はいつまでも見えない。そこで、叫ばれ始めたのが「多様性」というキーワードだ。

統率とは対極にある多様性。日本がこれまで最も苦手とする個の尊重が、どん底に落ちてようやく脚光を浴び始めた。多様性あふれるオフィスでは、個々がそれぞれの持ち味を発揮して相乗的に大きな成果を生み出す。そこにはゴマをするなど無用だ。むしろ、意見のぶつけ合いの方が重要だ。考えるべくは、いかにすれば自分の個性をプロジェクトに活かせるのか、それだけだ。その意味で、これから新しい働き方が生み出す副産物は、純粋に企業に対する成果そのものとなっていくハズだ。
◇ポイント 新しい働き方がもたらす副産物は純粋に企業に対する成果そのものになる
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