
テレワーク導入の前に忘れてはならないこと【瓦の目】

導入するだけでは意味がないテレワーク
国交省によると在宅型テレワーカーが、平成26年は推計550万人だったそうだ。25年比で170万人も減少したことになる。理由としては、2011年の東日本大震災を受け、試験的に導入する企業が増えたが、情報漏えいや労務管理への懸念から一転、控える企業が増加したためと推測されている。
おそらくその通りだろう。だが、情報漏えいリスクなどは以前から分かっていたこと。やってみて「やはりリスキィ」というのでは、あまりにもお粗末だ。そもそも、十分な体制が整う前に実施するのは無謀であり、準備期間が必要なことは言うまでもない。リモートワークを浸透させている企業のほとんどは、十分な準備期間を経て本格導入へとシフトしている。
新しいものを導入する際には、当然、リスクが伴う。それでも浸透させるには、明確なビジョンが必要だ。リモートワークを導入することで、業務を効率化する、生産性をあげる、オフィスの機能を一新し、よりクリエイティビティを高める…。自社の事業とのシナジーを考慮し、業務に溶け込ませるという高い意識がなければ、うまくいかない。
1年でテレワークの導入を躊躇した企業は、あくまで試験的導入だったのかもしれない。そうだとすれば、なぜうまくいかなかったのかは検証しているハズだ。その結果、継続する価値がない、と判断したのなら仕方ないだろう。だが、情報漏えいリスクは、リモートワークに限った話ではない。オフィス勤務でも十分に起こり得るリスクだ。労務管理については、ツールを活用することでかなりの部分が補完できる環境が整っている。
結局のところ、導入するか否かの差は、本気でテレワークを必要としているのか、そういう流れだから乗っかるのか、という覚悟や必要性の認識の違いでしかない。「時期尚早」という判断があったとすれば、いつが時期最適になるのか…。テレワークに情報漏えいリスクがあることがある程度分かっていたように、今後、人口減少により労働力の確保が困難になることは確実だ。そうした大きな背景の中にテレワーク導入推進の動きがあることを忘れてはならない。