働き方

安泰企業と決別する理由とは

投稿日:2014年11月25日 / by
左から西田氏(ファシリテーター)、金丸氏、松川氏、都丸氏、若新氏

左から西田氏(ファシリテーター)、金丸氏、松川氏、都丸氏、若新氏

働き方の祭典「TWDW」は2014年11月25日、最終日を迎えた。午後のセッションでは、多様性が進む中、次世代の組織について、トークが繰り広げられた。

「2020年組織の未来」のテーマで集まったのは、サイボウズ・松川隆氏、テックファーム・金丸美紀子氏、ママプロぐんま事務局長・都丸一昭氏、慶應義塾大学特任助教・若新雄純氏の4人。前者三人はそれぞれ、大手企業に入社後、転職や学び直しなどを経て、現在に至る経歴の持ち主。若新氏はNEET(株)を立ち上げるなど、誰もが自分らしく生きられる新しい組織やシステムを実証実験中の気鋭の人材・組織開発プロデューサーだ。

一流企業に就職しながら、転職した3人は「このままいても先がない。成長がない」ことを安泰企業との決別理由として挙げた。大きな企業であるほど、入る前は光り輝いてみえる。ところが、入ると外れようがないほどにしっかりとレールが敷かれていることに気づいてしまう。そして、それを受け入れる人、違和感を覚える人に分かれ、岐路が訪れる。

多くの若者が大企業へ進みたがる状況を若新氏は「結局、就職って『安定』という限られた利権の奪い合い。でもそれってなんのためにやってるのか、ってことですよね」と解説した。ヒエラルキーを上るために、会社の規則やルールを遵守し、自分を抑え、長時間残業し、会社の歯車として尽力する。結果的に、階段は上れても、その時ふと気づく。「なんのために、誰のためにやってんだ…」。

離れてみれば、いかに企業に守れていたかを実感する。だが、そこへ戻りたいとは思わない。敷かれたレールの上を走ることが幸せとは限らないことをハッキリと理解しているからだ。その上で、これからの働き方として、3人はそれぞれ、「人と比較をしない」(金丸氏)、「自分の頭で考える」(松川氏)、「違和感やこれはいいと思ったことを素直に表現する」(都丸氏)とその方向性を明かした。

3人がたどりついた結論にうなずきながら、若新氏は「組織の論理で、思っていても言うべきでないことはある。でもそれを隠しきれなくなってるから難しくなっている。隠さないで素直に認めるだけでも大分、ムードは変わってくるハズ」と独自の見解を明かした。突き詰めれば、これからの組織は、しっかりと多様性を受け入れていかないと優秀な人材は集まらないし、回っていかないということになる。

若新氏は実証実験として、NEET(株)から一切の会社の常識を排除した。ルールなし、上司なし、オフィスなし…。その結果、なにが起こったのか。役割や稼ぐことでなく、互いに人間として認め合うという尊重のみを求めることになったという。つまり、人は、どんな境遇・キャリアであるかは無関係に、尊重されることに最も価値を感じるということだ。社会全体が多様化に向かう中、これからの企業も個性を尊重し、その能力を最大化することが、より良い発展につながるーー。そんな道筋がボンヤリと浮かび上がる、聞きごたえのあるセッションとなった。

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