働き方

消滅可能性都市が募集する24の人材から実現する地方創生と“自分再生”

投稿日:2015年11月4日 / by

鹿児島県長島町が外部人材を大募集

左からビズリーチ南社長、井上副町長、土井氏

左からビズリーチ南社長、井上副町長、土井氏

鹿児島県長島町が、地方創生人材を公募している。消滅可能性都市に指定され、人口減少が著しい同町にとっての最大のボトルネックは人材難。そこで、手を組んだのが、日本最大級の求人検索エンジン「スタンバイ」を運営するビスリーチだ。30歳の史上最年少副町長が先頭に立ち、町を再興すべく、全国の外部人材を大募集する。

井上貴至副町長が同町副町長に就任したのは半年前。地方創生人材支援制度の第一号として、内閣府地方分権改革推進室から乗り込んだ。わずかな期間で同庁が抱える課題とそのために必要な施策をあぶり出した井上氏が、重要課題の一つに挙げるのが人材難。町にはいないのだから、外部に求めるしかない。そこで、ビズリーチと連携した上で、必要人材を明確に提示した。

「長島は、知名度はありませんが、海あり、山あり、大地ありの美しい場所です。魚が日本一おいしくて星もキレイ。ただ、それらをもっと活かしていくだけのノウハウがない。そこで、この長島長の魅力を十分に引きだしながら、町民と良好な関係を築き、これまでの経験や人脈を生かして、町を舞台に活躍できる人を募集します。優秀であれば何人でも採用したい」と井上氏は力説する。

24種に及ぶ募集職種がそそる意欲

地方自治体の職員公募は珍しくないが、井上氏が提示する職種は細分化されており、なんと24種にも及ぶ。大きくは、「特産品を販売する」、「人を呼び込む」、「環境を改善する」、「長島町の素材を生かす」、「心地よい場をつくる」、「人材を育成する」の6カテゴリー。これがさらに細分化され、24種となっている。

例えば、物販を販売するのカテゴリーでは、ブランディングやネット販売のノウハウを持つ人材、あるいは良さを伝えるための媒体づくりのための編集長、「環境を改善する」では、バイオマスを進めるための調査、合意形成できる人材、「人を呼び込む」では、星座に詳しく、ナイトツアーを企画・運営できる人、「心地よい場をつくる」ではセンスのいいコミュニティーカフェを企画・運営できる人材など、現在従事している仕事の強みやノウハウを活かせる職がどこかにありそうなくらい、豊富で多様な人材が募集されている。

都心でモヤモヤしているなら飛び出す価値アリ

nagasima01雇用形態は、主に三大都市圏、政令指定都市から過疎地などへの移住、定着を促すため総務省が2009年に創設した地域おこし協力隊として、長島町役場の嘱託職員での採用となる。契約は、1年ごとに更新可能で最大3年間。報酬は活動経費として年400万円を上限に国が支援する。副業も可能だ。

地域おこし協力隊の第一号として、都心でのIT関連のキャリアを引っ提げ、2015年10月に長島町へ移住した土井隆氏はその理由についてこう話す。「最初は長島町で特産品をネット販売するための講演を行いに現地に行っただけだったのですが、いつの間にか移住を決断していました。安定はなくとも、これまでのキャリアを存分に活かせるやりがいは大きな魅力です」。

2008年に東大法学部を卒業し、総務省に入庁するなどエリート路線を突き進む井上氏もその“磁力”に引き寄せられた一人だが、長島町には、器の大きな人が多く、さらに都心にはない自然に恵まれており、人をひきつける魅力がある。能力はあるのに十分に発揮しきれていない。都会の冷たい人間関係はうんざりだ…。もしもそうしたモヤモヤがあり、くすぶっているなら、まずは1年からでも日本の南の小さな町に飛び込んでみるのも打開策としてアリ、なのかもしれない。能力は活かしてこそ価値があるし、仕事は都心でなければできないわけではない。


【鹿児島県長島町】
鹿児島県の最北端の町で(東京から6時間)、長島本島ほか大小の島々からなる(面積116.1 km²)。人口約11,000人。人口減少が進んでおり、町には高校がない。農業・漁業が基幹産業で、ブリ養殖世界一を誇るものの、収益減となっており、収益増を目指し、個人向け市場の拡大が急務。

 

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