企業風土

頑張れば報われる正しい仕組みのつくり方

投稿日:2014年9月12日 / by

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頑張ることが自然になる仕組みづくり

 

(株)エストコーポレーション

頑張れば報われるーー。そうした土壌が確立されていれば、社員のモチベーションはキープされる。だが、それが単に売り上げをベースにしたものなら、短期はともかく、長期的に続けていくのは至難の業だ。(株)エストコーポレーションが導入する表彰制度は、シンプルながら、誰もが続けたくなる工夫を満載し、社風に溶け込む形で社員の士気向上に貢献している。

小さなこともしっかり評価する評価制度の仕組み

〈常に笑顔で社員に元気を与えてくれる〉、〈常に社員におもてなしの精神を持っている〉、〈いつも明るく太陽にオフィスを明るく照らしている〉、〈いろいろなことを頼られる〉…社内にはいろいろな社員がいて、いろいろな形で人の役に立っている。そうした、些細なことにもしっかりとスポットを当て、評価する制度が、同社オリジナルの表彰制度だ。

「当社は、お客様にとってなくてはならない企業となるためにも、社員誰もが実務以外の面でも輝く仕組みとして、創業初年度よりこの表彰制度を導入しています。数値化できないスキルで人事評価には反映されにくいですが、創意工夫で改善しつつ、ここまで継続しています」と同社人事部の森脇かほり氏は説明する。

評価の報酬はサイコロの目×3,000円/月

評価制度

サイコロで報奨金が決まるうれしい制度は毎月開催される

評価の仕組みはいたってシンプルだ。社員が、自分が該当すると思う人へ社内WEBシステムで投票。その獲得ポイント数によって受賞者が決定する。各賞の表彰式は毎月一回朝礼後に行われ、社長からの表彰状授与。その後、特大のさいころを振り、出た目の数×3,000円が報奨金として、翌月の給与にプラスされる。

活躍した人はもちろんだが、選外になった人にもチャンスが用意されている。こうした部分が、この表彰制度が創業から7年も続いている秘訣のひとつといえる。社長とジャンケンをして勝ったものに贈られる「あんたが大賞」のほか、「サンクスカード賞」では、最も書かれた人に1万円、さらに最も書いた人にも5,000円が支給される。頑張り方を多面的に評価することで、頑張る意義やモチベーションをキープし続ける万人にやさしい仕組みといえるだろう。

創意工夫で偏りやマンネリ化を防止

ダブル受賞する強者ももちろんいる

ダブル受賞する強者ももちろんいる

もっとも、「笑顔」や「頼られやすさ」などは、どうしても毎月同じ人物が選出されるがちとなる。その点については、「確かにその傾向はありますが、同じ賞で受賞が続くことはあまりないですね。とはいえ、どれかの賞にいつも選ばれるような人はやはりいます。もしも、同じ人が同じ賞を受賞し続けた場合は、6か月で殿堂入りとなります。そうしたことも含め、いろいろな人を評価するというのが狙いでもありますので、偏りができる限りないよう創意工夫は続けています」と森脇氏は明かす。

同じ賞の毎月の連続受賞はもちろん、際立って活躍した人は、ダブル受賞ということもある。その場合は、報奨金も賞の獲得数に応じて増加し、見合った恩恵を受けることができる。殿堂入りした場合には、さらにボーナスとして、毎月2万円が1年間支給されるなど、頑張ったら頑張った分をしっかりとリターンする、極めて健全な制度となっている。

社員全員が意図を共有しているので社風にも自然にマッチ

ともすれば、報奨金を名目にモチベーションを高めるだけの制度にも思えるが、あくまでも平等に全社員の頑張りを多角的に評価するためのもの。その意図を全社員がしっかりと共有しているので、同制度は自然な形で社風になじんでいる。各賞の中には、「褒め大臣賞」という賞があるが、こうした賞が設定されている通り、同社では、怒るより褒めて成長する文化が、創業以来浸透しており、同制度はまさに社風にピタリとマッチしている。

それにしてもこうした企画は毎月継続し続けるとなると、なかなか大変である。そうした部分は、担当部署の抜群のチームワークと絶妙な組織編制、そして漏れが起こりにくい運営の仕組みづくりなどの徹底によってしっかりとカバー。企画ありきで始めたような企業の大半は、こうした制度において失速しがちだが、しっかりと毎月表彰し続け、制度として定着させている点は、会社のビジョンともガッチリと連動しているからに他ならない。

社内だけにとどまらない徹底した“人至上主義”

おもてなしも取材対応も最高だった吉田さん(左)と森脇さん

「おもてなし」も取材対応も最高だった吉田さん(左)と森脇さん

小さなこともしっかりと評価する同社。実は、訪問直後から、その“ホンモノ”感は漂っていた。エレベーターで同社へ到着すると「ようこそ●○様」とプリントしたウェルカムボードでお出迎え。まるで老舗旅館を訪問したときのようなおもてなしだ。待機中には、3種類から選ぶドリンクに使い捨ての布製のおしぼり。柑橘系で心が癒される香りだ。そして帰りには「ご来社ありがとうございました」のサンクスボード。訪問者に対し、毎回こうしたことを忘れずにやり続けるのは、簡単なようでなかなかできるものでない。しかもボードデザインは季節ごとに変えるという手の込みようだ。

「当社が大切にしていることに“両想い精神”があります。こちらが手厚くもてなすことでお客様に心地よく感じていただき、ずっと当社と付き合っていきたいと思っていただければ、それが結果的に会社の利益につながります。このようなうれしい連鎖のきっかけになればと考えています。また、医療関係の会社ですとどうしても堅いイメージを持たれがちですが、おもてなしを通じ、柔らかくほぐし、商談をより楽しみにしていただければと持っております」と森脇氏は〈おもてなし〉にこだわる理由を説明する。

仕組みや制度で人をコントロールするのは簡単だ。だが、そこには、どうしてもやらされ感のようなものが漂いがちになる。しかし、もともと会社が潜在的に秘めるチカラなら、適正な仕組みをつくることによって、それをより引き出すことが可能になる。経営者がそのチカラを的確に見抜き、さらに会社のビジョンとシンクロさせれば、それは揺るぎのない強固なものとなる。創業8年目のベンチャー企業として、第三者機関による優良企業への賞を総なめにしている同社。その秘密は、社内外を問わない、徹底した“人至上主義”にあるといって間違いないだろう。


【会社概要】

ウェルカムボード

社名と名前入りウェルカムボードは感動モノ

社名:株式会社エストコーポレーション
東京本社:東京都千代田区五番町1-9 MG市ヶ谷ビル8階
代表取締役社長:清水史浩
事業内容:高齢者マーケティング及び二次予防事業対象者把握業務、特定健診(住民検健診・企業健診等)、生活機能評価のデータ作成・電子化業務全般、医療機関検索・予約サービス「EST Doc」、診療予約管理システム「EST Book」の運営

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