インタビュー

企業も一緒に考えて欲しい「これからの働き方」

投稿日:2014年2月11日 / by

NPO法人 Fathering Japan 徳倉氏 インタビュー

fj-lecture父親が笑っている社会を目指すファザーリングジャパン。しかし、そのような社会を受け入れられない企業は存在している。多様化していく社会について、まだ考えられないという企業がまだまだ多い中、ファザーリングジャパンは企業に対してどのような活動をしているのだろうか?

企業にも少子化問題について向き合って欲しい

―今後企業側に訴えたい環境の設定とかございますでしょうか?

男性だけが働き、女性だけが家事・育児をするというモデルはもう成り立たなくなることは強く訴えています。企業として男女問わず、子育て世代で働き盛りの年代が成果を出しながら働き続ける組織風土を作る事が、企業だけでなく社会を支える重要な要素であると認識して頂きたいと思います。

これは独身者とか子供がいない世帯に対して、不平等じゃないかという声が必ずでて来ます。しかしながらこれは正論の様に聞こえますが、社会の全体から見ると偏った意見ではないかと思うのです。なぜならば、子供を生み育てるという行為は、これからの市場を作ることだからです。

労働力の確保という点で育児についても認めていかないと、労働力が足りなくなってくるでしょう。全ての企業がグローバル化して外国の方を受け入れる、もしくは外国に本社を移しすっていうのはできないと思うんです。

経営者へのアプローチは身近になる自分の問題から提言

―今、経営を行っている方で、なかなか子育て環境の確保といった試みに賛同してくれない方もいらっしゃると思いますが、その場合はどういうアプローチをされていますか?

企業の経営者に子供がいた場合、自分たちの子供は現状の働き方をしていて幸せですか?と聴いています。経営者の方で、急にワークライフバランスや子育て支援に火がつく方がいらっしゃいますが、そういう人は必ずといっていいほど娘さんがいるんです。

娘さんが成人をして結婚をして、子供を生み育てていくときに、働きづらい社会になっていることに初めて気付くみたいです。そこで、自分の会社を見てみると、確かにこの年代の人がたくさん辞めているんですね。新卒で新入社員を採ったとして、入社して7,8年目、つまり実績を出し始めてきた人たちが辞めていくんですよ。それはこれまで見えなかった御社のリスクではないでしょうか?という聴き方をしています。

他にも、介護の問題があります。自分に奥さんや子供といった家族がいようがいなかろうが、親は必ずいます。今75歳以上の要介護認定者は33%以上にものぼります。3人に1人の計算です。結婚をしている人なら両方の親が75歳を超えた時点で、4人のうち1人は要介護認定者になる数字です。その時に、今の働き方をしていたら、親が倒れた時に「誰が面倒を見るんだ」「誰が経済的な負担をしていくんだ」という問題が出てきます。

介護には経済的な負担が必ず伴うので、仕事は辞められません。しかし、労働時間は確実に制限がされてしまう。そういった時になんの準備もできていなければ、その従業員は辞めるしかなくなってしまいます。それは経営者ご自身にふりかかることかもしれない。

そうなったときに、男性社員が介護休暇や育児休暇を取って、その後復帰できるような仕事の仕方、組織のあり方を構築しておかないと、今後の社会には到底対応できないと思います。

社会に必要とされる働き方をするべき

―やはり社会を考えて、貢献を考えてこそ経営ですからね

社会に生き残っていくっていうのは、社会から必要とされるということなので、世の中のニーズを社会の動きに敏感でなければ生き残れないと思っています。
幾ら大きな規模であっても、そこに対応していかなければいけないかなと。だから、大企業ほど、ワークライフバランスとかダイバーシティとかを叫んでいるのかなと思います

―これからの社会変化を見越しながら、そこにいろんな人をシフトさせていくというミッションも担っているというわけですね

その動きを1年でも2年でも早くできれば、僕らのミッションは1つ達成できると思っています。それは子育て支援もそうですし、男性の働き方もそうですし、介護の問題もそうです。人事評価の仕組みであったり、育児休暇のシステムを整えたり、いろいろなセクションの動きというのは同時にやらないと意味がありません。
保育園だけすごい増やせばいいかというとそうじゃないんです。保育園を増やしつつ企業の風土をかえていかないと働きづらくなります。幾ら保育園に子供を預けられたとしても、上司に理解がなければ、ただ預けているだけで他には何もできないです。でも10年経つと理解のない上司というのが減ります。なぜなら、共働き世帯が管理職になるからです。そうなったときのためにも、今のうちからシステムは作り上げていくべきだと思います。


【組織概要】
団体名:特定非営利活動法人(NPO法人)
Fathering Japan(ファザーリング・ジャパン)
所在地 :〒101-0054 東京都千代田区神田錦町三丁目21番地
ちよだプラットフォームスクウェア1320
設立:団体発足 設立総会開催  2006年11月27日
代表理事:吉田大樹
URL:http://www.fathering.jp/

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