働き方

日本の人材多様化が遅れている理由

投稿日:2014年10月21日 / by

総合人材サービス会社ランスタッドホールディング・エヌ・ヴィー(本社:オランダ王国ディーメン、CEO: ジャック・ファン・デン・ブルック)はこのほど、18~65歳の週24時間以上働く方を対象に世界33の国と地域で実施する労働者意識調査「ランスタッド・ワークモニター」の、2014年第3四半期の結果を発表した。

randstad1「多様性のある組織は、同質的な人材が集まる組織と比べ、より成果を出している」 。この質問に対し、日本では71%、グローバルでも73%の労働者が「はい」と回答。特にアジア圏ではその傾向が強く、中国では94%、インドでは86%が同意する結果となった。桁違いの人口規模の両国が強く認識していることは、当然でもあり、実感しているからこその回答といえる。

グローバル規模のビジネスを展開し、世界で戦うために、チーム・組織自体が多様性を持つほうが、より有利であることは、もはや世界共通の認識であるということだろう。

では、企業は「多様性のあるチームに対するツールやトレーニングを提供している」のか。これに対しては、日本の労働者は「はい」が4割にとどまった。グローバル平均は6割、さらにアジア圏では約8割が「提供している」と回答していることを考えると、日本が多様性への対応については大きく遅れていることを証明する結果となった。

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さらに日本は、「多様なバックグラウンドを持つ同僚と働くためのトレーニングやツールが提供されている」との回答が40%、「在宅勤務者や別拠点との作業効率を高めるためのトレーニングやツールの提供」にいたっては35%、と調査対象33の国と地域中最低だった。日本でも企業・組織による多様性が推奨されているが、現実には環境整備や研修面で受け入れ態勢が整っていない、もしくは実際の取り組みについては現場任せという現状が浮き彫りとなった。

こうした結果を受け同社人事本部本部長の柄沢雅生本部長は「国内でもグローバル競争や、子育て・介護世代の就業維持・復職の観点から、組織内の多様性を推進する傾向にあるが、そのようなチームに焦点を当てた研修や取り組みを行っているのはまだ少数派であり、今回の調査は日本の現状を露呈した結果となった。今後、企業・団体として、多様性を『課題もしくは宿題』としてではなく、『競争力の源泉』、『自らの強み』として捉え、むしろ積極的に投資する対象として位置付けて行く、というマインドセットの転換が必要なのではないだろうか」と見解を述べている。

ランスタッド・ワークモニターは、2003年ランスタッドの本社のあるオランダでスタートし、現在は欧州、アジアパシフィック、アメリカ大陸の世界33の国と地域で行われています。ワークモニターは年4回実施され、労働市場の動向に関するグローバルトレンドを調査している。調査はオンライン上で行われ、18-65歳の週24時間以上の勤務をする労働者を対象にしている(自営業を除く)。今回の調査期間は2014年7月22日~8月5日。

〈調査実施国〉

アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、チェコ、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、ハンガリー、インド、イタリア、日本、ルクセンブルク、 マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、シンガポール、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、オランダ、イギリス、アメリカ、以上33の国と地域。

 

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