
電子雑誌の切り売りがもたらす“経済効果”とは
(株)ダイヤモンド社(本社:東京都渋谷区神宮前、代表取締役社長:鹿谷史明)が、経済雑誌「週刊ダイヤモンド」から特集やレポートだけを電子書籍化した「週刊ダイヤモンド 特集BOOKS」のリリースを正式に開始する。
読者にとっては、「特集だけを気軽に読みたい」という要望がかなえられ、コスト面でも100円から、と効率的でありがたいサービスとなることはいうまでもない。さらにいえば、フリーライターの“稼ぎ”にとっても大いなる可能性を秘めるビジネス展開といえる。
なぜなら、電子書籍による“切り売り”により、コンテンツ価値が増大するからだ。従来であれば、例えばフリーライターが寄稿した記事の場合、その依頼に対する成果物の報酬が原稿料であった。つまり、執筆一回に対する報酬のみであった。
しかし、今回のように雑誌内の記事が切り売りされ、“リサイクル”されれば、新たな価値が生まれ、売り上げが発生する。契約の仕方に関わってくるが、今後は、執筆に対する報酬に加え、さらにその後の売り上げに応じ、報酬が加算されることも十分に考えられる。
ライターにとって、こうした形の報酬を手にするには、これまでは本を出版するしかなかった。しかし、今回の「週刊ダイヤモンド 特集BOOKS」のようなサービスが広がってくれば、ライターにとっての収入は大きく変わってくる。
さらにいえば、特集記事の“ヒット”により名をあげ、晴れて作家デビューという道も開けるだろう。もちろん、出版社側がどう考えるかは分からない。しかし、すでに個人で電子出版することも容易な時代。電子書籍上おいては、雑誌はプラットフォームと割り切り、優秀なライターを集める場として戦略的に活用すれば、出版社にとっては、さらなる質の向上にもつながり、売り上げアップも期待でき、悪い話ではないはずだ。
先行販売における反応は上々で小栗正嗣・週刊ダイヤモンド編集長も「これほどの反響をいただけるとは思っていませんでした。うれしい驚きです。今後も読者の皆さんの要望にお応えするため、さまざまなチャレンジをしていきたいと考えております」とコメントしている。
元年といわれ久しい中、ようやく普及段階に入った電子書籍。まだまだソフト価格面等に不満は残るが、ユーザーにとっても作り手にとっても面白い存在になってきた。なお、「週刊ダイヤモンド 特集BOOKS」はアマゾン Kindle(キンドル) http://www.amazon.co.jp/Kindle、楽天kobo(コボ) http://kobo.rakuten.co.jp/、honto(ホント) http://honto.jp/ebook.html 、ヤッパ http://www.yappa.co.jp/、で販売される。