インタビュー

人は何のために働くのか

投稿日:2014年7月22日 / by

iroha1働くことを考える意味

いろは出版 奥村紫芳氏

人は何のために働くのか…。新しい働き方へのシフトが進む狭間で、若い世代の多くが、根源的な部分でどんよりした状態に悶々としている。なぜ働く理由でつまずくのか。「新しい働く理由をみつけよう —What is your salary?—」(2014年5月発売)を編集した、いろは出版の奥村紫芳氏になにか糸口はないのかたずねてみた。


「あなたは何のために働いているのですか?」。この質問にどれくらいの人が即答できるだろうか。「お金を稼ぐため」、「生活していくため」。もちろん立派な答えだ。だが、本当にそれが働く理由なのだろうか。稼いでその後どうするのか。飽食の時代のいまでも本当に働くことが生活していくためなのだろうか…。

何のために働くのか、の問いに答えるために生まれた本

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新しい働き方を見つけようを出版した理由を話す奥村氏

「この本は働くみんなが抱える『何のために働くんだろう』というたった一つの問いかけに答えるために生まれました。サラリーの語源はラテン語の塩(salarium)。食べるために欠かせないものでした。だから『働く対価』として塩をもらっていたそうです。サラリーマンというのは、大正時代に日本で生まれた和製英語で、働く対価として給料をもらう人を指す言葉として広まりました。祖父母や両親の世代は、お金を稼いで豊かに暮らすことが働く理由でした。そしていま、私たちにとって、働く対価がお金というのは何か違う感じがしませんか?私たちはずっとお金に代わるサラリー、つまり働く対価を見つけられずにいたんだと思うのです」と奥村氏は、同書発刊の理由を説明する。

会社で働いて給料をもらう。サラリーマンは、当たり前のようにこうした仕組みの中に浸かっている。事務でも営業でも製作でも、作業したことに対し、毎月自動的に給与が支払われる。アウトプットの質が良ければほめられ、悪ければやり直し。そうした波はあっても基本、もらう給与の額には無関係だ。成果報酬という仕組みもあるが、誰もが納得する形での運用は難しい。結局、サラリーマンは、何のために働くのかをまとも考えることなく、働いた時間の対価としてサラリーを淡々と受け取り、長い歳月を過ごしてしまう…。

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十人十色の「働く対価」に透ける希望

同書には36人の働く人が登場する。そして、各自が働く理由、つまり働く対価は何かについて回答している。パンが大好きでパン屋になった人などは分かりやすい。ある銀行員の女性は、なかなか解を見いだせず「仕事がなかったらどうなるか」を考えた。その結果、ダラダラした自分がそこにいた。仕事で感じる「今日は楽、ラッキー」もなくなる。要するに生活に潤いがなくなることが分かった。彼女にとってのサラリーは「人間らしくいさせてくれること」だった。日本最高齢の83歳のプラネタリウム運営者のサラリーは、「宇宙への夢を追い続けること」だった。

「取り上げている人は輝いている人たちばかりですが、それでも今回のテーマについて考えると簡単には答えは出てこない。なんとなく思ってはいてもなかなか明確なものがないのが、『何のために働くのか』というテーマではあると思います。でも、『人間らしさ』と回答した人がいたように、いろんな『サラリー』があっていいと思います。もちろんお金を稼ぐためだってかまわないでしょう。ただ、そうやって夢中になれる理由があるのとないのでは働くことに対する向き合い方も楽しさも全然違ってくると思います。さらに言えば、人生が充実しない気がするんです」と奥村氏は働く理由を考える意義を説明する。

毎日残業をして、たっぷり残業代を稼いで満足しているとしよう。それでももちろん結構だが、毎日長時間働くことに喜びがあるとは思えない。その労働時間の中に、誰かを喜ばせることがあったり、感謝される場面があるかもしれない。そこに目を向ければ、単調な仕事に潤いが出てくるかもしれない。そうなれば、次には、もっと喜んでもらおう、という意欲が湧いてくるハズだ。貯金の残高増えることの先にあるものと、多くの人を喜ばせることの先にあるものは、同じとは思えない。ちょっと意識を変えるだけで、仕事が、人生が充実する。

「働く対価」の探し方

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「働く対価」を探す3つのキーワード、「Who」、「What」、「When」。

では、「何のために働くのか」に対する答えに、できるだけスムースにたどり着く方法はないものなのか。同書でも触れられている働く理由の見つけ方を紹介しよう。フローは簡単だ。「Who」、「What」、「When」。誰が、何を、いつ、で考える。例えば、ある商社マンは「儲かる農業がつくりたい私」が、「仕事で海外農業と関わる中」で、「新鮮な毎日が面白いと感じられるとき」となる。こうやって、自分のやっている仕事における各要素をこのフローにはめ込んでみる。そうすることで、どこに「働く対価」があるのか浮かび上がってくる。

若者が働く理由として“社会のためになりたい”というケースが増えている。「社会起業家」という言葉も頻繁に耳にする。これは、すばらしく、頼もしいことだが、一方で働く理由の答えが見えやすいから、ともいえるのかもしれない。就職人気ランキング上位に名を連ねる大きなメーカーに入り、その製品が消費者の役に立ち、生活に潤いを与えたとしても、それを自分がやったという実感は得にくい。反対に、社会のためになる行動は、地味で泥臭くても、反応がダイレクトに感じられ、まさにやりがいを肌で感じることができるからだ。

ただし、である。反応がすぐに分かることだけが、働く理由の答えにつながるとするなら、少々薄っぺらい。社会のために働くことは確かに素晴らしい。だが、どんな仕事でもどこかで社会のためにはなっている。それが見えやすいか否かだけの差かもしれない。だからこそ、「何のために働くのか」。この問いにしっかりと向き合うことが重要になる。たったそれだけで案外、いまそこにある仕事が一気に輝き始めることだってあるかもしれない。働き方が過渡期にあるからこそ、若者に限らず、ベテランでもいま一度立ち止まり、「何のために働くのか」を考えてみてはどうだろう。肩肘など張る必要はない。気軽でもいい。そうすれば、意外な形で目の前に新しい扉が見えてくるかもしれない。


【会社概要】

働くをテーマにした書籍も多い

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会社名: いろは出版株式会社
本社所在地:〒606-0032京都府京都市左京区岩倉南平岡町74番地
設立: 平成15年10月
代表者: 代表取締役 木村行伸(きむ)
資本金: 1000万円
事業内容:
・出版物の企画、制作、販売
・雑貨の企画、制作、販売
・似顔絵、ウェディンググッズの企画、制作、販売など
HP:http://hello-iroha.com/

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