働き方

人材会社による“異質”のクラウドソーシング

投稿日:2014年11月14日 / by

ジョブハブが“異質”な理由

Job-Hub2

https://jobhub.jp/

(株)パソナテックが運営する「Job-Hub(ジョブハブ)」は、いわゆるクラウドソーシングと横並びにするのは少々異質といえる存在かもしれない。なぜなら、バックグラウンドには人材サービスの大手パソナがあり、その系譜を強く引き継ぐ形でクラウドソーシングを展開しているからだ。

 “人材派遣の進化系”というと語弊があるかもしれないが、同社のサービスは、人材派遣のノウハウをうまくクラウドソーシングに落とし込んだ、というのが分かりやすいかもしれない。従って、他社と異なり、契約はコンプライアンスを重視すると共に手続きもネット上で完結するのが特長の1つだ。また、業務の発注側とワーカーとのマッチングにおいては、ネット上のプラットフォームを提供するだけでなく、同社の担当者がサポート役として間に入り、案件がマッチングされる点も見逃せない。

 理由は明白。「“面識のないWeb上のワーカーに対して、仕事を依頼するのは不安”、“仕事の依頼の仕方がわからない”、“発注した案件に対して数多くの提案があったが、どのワーカーが最適なのかわからない”といった声も多い。こうした不安や疑問から、結果的に簡易で低単価な業務案件の発注が多くなりがちです。そうした偏りを解消する目的もあり“エージェント型”を採用しています」(ジョブハブ・湯田健一郎氏)。

 クラウドソーシングが内包する問題として、誰もがアプローチできるという参入障壁の低さがある。つまり、オープン化でマッチングの可能性は拡大するが、その質を低下させるリスクだ。同社の場合、そうした部分に十分に配慮し、雇用ミスマッチやクラウドソーシングの活用ができる限り円滑に行えるようシステムを構築している。いわゆるネット系のクラウドソーシングとは根本の部分が違う。同社が自身を「エージェント型クラウドソーシング」と呼ぶのも、そうしたことの表れといえるだろう。

人が介入することで高まる信頼性

湯田氏はいわゆるCSとの違いを明解に説明した

湯田氏はいわゆるCSとの違いを明解に説明した

結果的に同社では非公開案件が多く、他社に比べ大企業の利用率も高い。良質な人材が、仲介を経て、しっかりとした契約に基づき、案件に取り掛かるから、トラブルの発生率は極めて低い。案件と業務のやり取りについても「エージェント」が常にモニタリングし、問題があれば助言を行うなどトラブル拡大を未然に防ぐ工夫にも抜かりはない。さらに2014年9月には法人向けに「Job-Hub Enterprise」をスタートし、大企業の使い勝手向上にさらなる強化を図っている。

 同社が、その先に見据えるのは「多様な働き方を実現するインフラづくり」。クラウドソーシングの手軽さはもちろんだが、例えば、子育てで離職した人の再就職への足掛かりとしての仕事復帰への第一歩としての活用も視野に入れており、ある意味で、同社のクラウドソーシングの展開は、そうした目的へ向かうプロセスにおける一つの機能でしかないともいえるかもしれない。

クラウドソーシングの利便性を追求するなら、出来るだけ煩雑な部分は省略したいところだ。だが、信頼性の確保を考えれば、人を介することが最も効果的ではある。同社の事例はそれを証明している。結果的に現状では、各社ともリアルとの連動を強化しており、今後の市場全体の発展のキーとなるのもやはり「ヒューマンパワー」の活用の仕方次第といえそうだ。

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