インタビュー

専門性を“換金”する極意

投稿日:2013年2月28日 / by

好きを仕事にするアプローチ

日常の一コマ

「好きを仕事にしたい」、「自分の特技で収入を得たい」…。ワークスタイルの多様化が進む中で、個人の専門性が企業とつながる新しい働き方が生まれつつある。SNSの浸透が、そうした動きを加速している側面もある。公募ガイドによる専門知識の流通とその独立支援をミッションに掲げ、WEBをメインに“経済圏”といえるプラットフォーム構築を進める(株)オールアバウト。同社の仕組みや動きから、好きや得意の“専門性を換金する極意”を探ってみるーー。

電子書籍本格展開の狙いとは

オールアバウト電子書籍pjtプロジェクトリーダー・上村充弘氏

2013年を迎え、グーグルプレイに1万冊を超える電子書籍が一斉に並んだ。出版元は全て同じ。オールアバウトだ。書籍は、同社に登録するガイドの過去のWEB上でのコンテンツをまとめたものやガイドによる書下ろし。グーグルプレイでは1冊50円で販売され、上々の滑り出しを見せているという。

「WEB上のコンテンツをまとめた電子書籍については、新たな収益源とすることはもちろんですが、むしろ新しい形での知の流通という側面が強いですね。WEB上でコンスタントにコンテンツを見る層と電子書籍を買う層は違うとみています。そこを電子書籍で取れればと思っています」と同社メディアビジネス事業部電子書籍pjtプロジェクトリーダーの上村充弘氏は説明する。

リアルへの展開強化で“知の流通”を拡大

同社ガイドは、WEB上でその専門知識を披露し、支持を集め、認知度を上げ、マスメディアへ露出ことでキャリアアップするパターンがベーシックだった。その流れの延長線上に自然な形で電子出版が加わったことで、ガイドは“作家”としての箔付けも可能となり、さらに知名度向上への可能性が広がったわけだ。

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電子書籍事業への本格進出は、同社にとってリアルでの展開強化の一環でもある。単にWEB上で、情報を収集するだけの層がこれまでの同社の知の流通とすれば、リアルでの展開は、また違った層への知識流通のアプローチとなるからだ。電子書籍のほか、リアルの情報提供となる「じぶん学校」開設など、同社は、ネットとリアルを絶妙に使いこなし、知の流通と専門知識を持つガイド自立をサポートする環境を着々と整えつつある。

技能を換金できるのはどんなタイプ?

「自分の特技を何とか収入にしたい」。他人に誇れる知識や技能を持ち、それを何らかの形で披露し、ゆくゆくは独立したいと考える人にとって、オールアバウトは、それを実現へ導くパイオニア的存在であり、代表的なプラットフォームの一つといえる。実際、得意を引っ提げガイドへ登録。その後、メディアに引っ張りだこになり、多くの収入を得る人もたくさんいる。

では、どんなタイプが、フリーランスのガイドから成功の道へ進めるのか。同社広報グループマネージャーの柏原浩志氏は次のようにアドバイスする。

「好きなのはもちろんですが、受け手へ向けてきちんと情報発信できることが重要です。例えば主婦がターゲットなら主婦の目線になっていかに分かりやすく展開できるかですね。逆にいうと好きで知識があっても自分よがりの発信しかできないと厳しいですね」。

タイプ別

昨今、クラウドソーシングによる、個人と企業の業務マッチングサービスが普及し、フリーランスの仕事探しの敷居は以前に比べれば大きく下がっている。オールアバウトでも募集ガイドの項目が450以上にわたるように、気軽に仕事を受託できるWEBサービスが急増し、“得意の数だけ、業務ニーズがある”、といっても過言でない状況になりつつある。

もっとも、ものごとの道理だが、普及が進めば当然、競争は激しくなる。つまり、“自称専門家”では、淘汰されてしまうということだ。例えば、オールアバウトでは、ガイドに公認する審査を厳格にすることでそのクオリティをキープしている。オールアバウト以外をみても、手軽に業務を受託できるサービスを提供するある事業者は、利用者の書き込み枠を設け、口コミを記載するなどで、事実上の“品評”を行い、質の低下を防止している。

「好きを仕事に」はゴールでなくスタート

ここ数年で、ぐっと身近になり、その裾野を拡大する個人の専門知識や技能を生かした働き方。それだけで“独立”となるとまだまだ簡単ではないが、好きや得意を換金しやすい環境は着実に整いつつある。ただし、勘違いしてはいけない。身近にはなったが、手軽になったわけではない。従来のいわゆるフリーランスに比べれば、職探しは、飛躍的に快適になった。しかし、最終的に“成功”へ到達するには、保有する技能のクオリティはもちろん、それをいかにアウトプットし、満足してもらえるかのトータルの“仕事力”が重要となることはいうまでもない。


増加する“技能換金サービス”

ガイドが活躍する場をプラットフォーム上で生み出すオールアバウトを自給自足型の個人技能換金サービスとするなら、いわゆるクラウドソーシングは外部調達型の個人技能換金サービスといえる。代表的なのはランサーズ、クラウドワークス、クラウドなど。今年に入り、ヤフーも正式参入を果たした。両社と一線を画しながらもややオールアバウト寄りなものに@SOHOがある。ここ数年で、ネットは情報を検索したり、物品を販売するなどのステージから、個人のスキルが“出品”される段階へとシフト。働き方にも大きな影響を与えつつある。

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