インタビュー

会社を辞めずに他企業の中枢へ“参画”する方法

投稿日:2014年11月17日 / by

働き方の転換点に生まれた斬新サービスの中身

企業の短命化が進んでいる。終身雇用制度も事実上崩壊している。会社員といえど、自分の身は自分で守らねばならない時代がすぐそこまで迫っている。では、有事に備え、ビジネスパーソンはなにをすべきなのか。(株)リクルートキャリア(東京都千代田区)がβ版で運用する「サンカク」は、その一つの答えを提示している。未来の働き方を見据えた斬新なサービスの中身とは。

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サンカクとは、ズバリ「参画」。つまり、企業の経営課題解決のためのディスカッションに、スキルや経験を持ったビジネスパーソンが参画するサービスだ。

もう少し具体的に説明しよう。社外で経験を積みたいと考えているビジネスパーソンがいるとする。成長企業には、自社では解決しづらい課題を抱えていることも少なくない。この2つの点をつなぐプラットフォーム。それが「サンカク」だ。

「企業に所属するビジネスパーソンには、転職や退職こそ望まないが、自分のスキルを磨くべく、社外の事業活動や経営に参画することで経営体験を積みたいというニーズがある。一方でスタートアップ企業は、ヒト・モノ・カネといった経営リソースが限られており、社外のビジネスパーソンの知恵やアイディアを求めている。その両者を結び付けることで成長したい個人と成長企業のサポートができると考え、このサービスを生みだしました」と秋山氏は説明する。

会社を辞めずにビジネスパーソンが社外の“経営体験”をする。これは、確かにセミナーやビジネス書読破とは比較にならない成長をもたらすだろう。だが、一方で、所属企業への背信行為にはならないのか、という懸念もある。その点ついて秋山氏は次のように見解を述べる。

「サンカクへの参加は基本的に個人の判断で行っていただきます。『会社を辞めずに』と謳っているのはオンタイムは本業を目一杯こなし、その上でオフタイムに参加してもらいたいと考えているからです。もっとも、世の流れとしては、『プロボノ』や『パラレルキャリア』といった社外での活動により、新たなキャリアづくりをする動きが注目されはじめています。私としては、こうした動きが当たり前になるような後押しができればと思っています」。

企業間の壁が極限まで緩やかになる社会を見据え、実現サポート

サンカクの開発の経緯を語る渡辺氏(左)と秋山氏

サンカクの開発の経緯を語る渡辺氏(左)と秋山氏

成熟フェーズ真っ只中の日本は、「競争」から「共創」の時代へとシフトを始めている。とはいえ、自社のリソースを他社と自在に共有するにはまだまだ時間がかかるだろう。一方で、フリーランスの増加やクラウドソーシングの普及で、外部リソースの活用環境は格段に容易になりつつある。企業間の壁は、緩やかながらもなくなる方向へと移行を始めている。

「大きなうねりにする前段階として、まずビジネスパーソン側にこうした選択肢があることを認知させていきたいですね。個人側が働き方に対する認識やキャリア形成のアプローチについての考えを変えていくことで、“壁”は自ずとなくなっていくと考えています。自分の経験と照らし合わせても、社外での経験は、強みの発見や研磨はもちろんですが、一方で弱みも明確にしてくれる。これは自身にとっての大きな成長材料にもなります」と秋山氏は、サンカクがもたらす効果を力説する。

世界のワークプレイスをデザインするゲンスラーは、次世代のオフィス空間について「企業が他企業へオフィスをシェアする」という流れを予測する。奇しくもそれは、サンカクが描く未来とピタリ重なる。現状の日本では、企業モラルや情報漏えいリスクへの懸念などから、オープンイノベーションに対しては、まだまだ及び腰だが、潜在ニーズは大きく膨らんでいる。サンカクは、こうした閉塞感に風穴を開ける突破口となり得る試みでもあり、今後の展開が注目される。


▽サンカクのトリセツ

利用法はいたってシンプル。会員登録し、ディスカッションパートナーを募集中の案件を確認し、興味があれば企業の担当者にコンタクト。すると企業から返信が来る。そこできちんと内容を摺合せ、まとまれば、企業の経営や事業に関するディスカッションに参加する。サンカク側が、企業側にコンセプトをしっかりと説明しており、ミスマッチは起こりづらいそうだ。「企業向けのヘルスエアプラットフォームの戦略全般」、「いま話題の『ネイティブ広告』を国内で正しく発展させるための事業戦略をディスカッションしませんか」、など議題が明示されており、興味があったり、ある程度の知見があるテーマなら、そそられるのではないだろうか。現在までに登録企業30社以上、登録ユーザー数は4ケタを超えているという。URL:https://sankak.jp/

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