企業風土

社内SNSで大幅な時短を実現する働き方

投稿日:2013年10月18日 / by

SNSの有効活用で無駄を削減

アウンコンサルティング

(株)アウンコンサルティング

業務効率化を遂行する上で、ムダの削減は王道のひとつといえる。アウンコンサルティングは、長時間になりがちな定例会議を約7割も圧縮。すぐれた生産性を実現している。驚異的な時短を可能にしたのは、社内SNSの有効活用だ。多くの企業が活用につまずく中、いかにして社内SNSを浸透させたのか。同社信太明代表に聞いた。

会議時間を劇的に短縮するSNS活用法

報告は基本フェイスブック

社内SNS徹底の極意は「使わざる得ない環境にすること」という信太社長

一般的に企業のトップが集う会議は、長時間におよびがちだ。同社も例外でなく、毎週月曜日開催される定例の経営会議は、3時間近くを要していた。ところが、会議にSNSを導入したことで、審議にかけていた2時間は実質ゼロとなり、残りの1時間を確認にあてるのみとなった。一気に3分の2もの時間短縮に成功したわけである。

“SNS会議”の手順はこうだ。議題に対し、金曜日夕方から月曜日の朝までの4日間で参加者が意見を投稿。もちろん資料などはデータで準備される。参加者は、週末から会議当日の朝までに、意見があれば投稿し、なければしなくてもよい。土日を挟んでいるが、投稿はいつでもどこからでも可能なので、子供と遊んでいる隙間時間やお風呂に入りながらでももちろんOK。休日に仕事がしたくなければ、金曜日午後もしくは月曜日の早朝に処理しても構わない。

無料ツール活用に課題はないのか

社長は語るこうして進められる4日間の“SNS会議”を議長役が整理し、参加者全員で共有。会議本番までには、審議は終了しているというわけだ。従って、会議は確認事項等だけで幕となる。これにより、単純計算で週2時間の“ムダ”が削減。1ケ月では8時間。さらに約20人の幹部クラスが参加することを考慮すると、その20倍。人件費等も含めると、非常に大きな削減効果が得られ、経営メリットが発生することになる。

とはいえ、これで本当に機能するのか、セキュリティは大丈夫なのか、などいくつかの不安や疑問もある。その点について信太代表は「SNSを使わないと業務を回せないようにしてしまえば、誰だって使いますよ。そもそも我々は職業柄こうしたツールを使いこなせないと仕事上恥ずかしい側面もありますしね。セキュリティに関しても無料SNSで不安といっても、ツイッターやフェイスブックの堅牢さにはどこも敵わない。使わない理由はないんじゃないでしょうか」とサラリと言ってのける。

実際、会議以外でもSNSは徹底活用されている。新人紹介、イベント開催、メディア掲載はもちろん、人事異動もSNSで発令される徹底ぶりだ。「○○に◆◆へ出向を命ずる」といった『半沢』で話題になったあんな光景もSNSを通じ、携帯端末でサラリと行われる。従って、社員はSNSをみていなければ、社内で身動きが取れない。だからこそ、同社では、SNSが、生活必需品のように浸透し、使いこなされている。

社内SNSにこだわる理由

グローバルに展開する同社

世界に拠点を持つ同社にとってSNSの使い勝手は抜群という

ここまで徹底するのには、同社の事業拠点が海をまたいて点在していることも背景にある。国内では東京の本社の他、沖縄に支店があり、海外では、台湾、香港、タイ、シンガポールにそれぞれ事業所がある。スカイプやテレビ電話ももちろん活用しているが、リアルタイムで全社で情報共有するには、SNSが最も効果的ということを信太代表自身が実感しており、SNS活用についてのブレはみじんもない。

「もともとSNSの活用の本格導入を決めたきっかけは、震災でした。携帯もつながらない中、ツイッターが有効であり、事業継続の観点からもこれは使えると判断し、ツイッター会議を実施しました。弊社は世界に拠点がありますが、営業報告などは、直後にするようにしています。忘れないうちに、というのとやはり本当にリアルタイムで、グローバルに情報有共有するという観点からも有効との判断です。現在は、画像の添付もしやすく情報もたくさん発信できるフェイスブックに切り替えていますが、私の感覚ではこれまでメリットこそあれ、課題は思い浮かびませんね」と信太代表は話す。

柔軟なワークスタイル構築も視野

生産性の向上によって、労働時間は短縮される。意味のない残業がなくなることで、プライベートも充実する。実際、同社ではワークライフバランスについては、しっかりと取り組んでおり、年に3、4回の9連休取得を指示している。「これは抵抗勢力が多いのですが、トップ命令として取るよう指示しています。休めないことはないはずで、休んでもまわるように体制を整えることにつながると考えています。それにそもそもメリハリがないといい仕事はできないですからね」と信太代表は、その意図を明かす。

特注備品ケース

特注備品ケースは見える化によって無駄削減に貢献

いつでもどこでも使えるSNSを軸に業務が回る。とうことはつまり、すでにリモートワークの土壌が整っていることを意味する。実際、同社では沖縄支店で在宅勤務制度を導入。今後、東京本社へもその流れを取り入れる方向で動いているという。さらに会社のあり方そのものについても「正社員という形式だけにこだわることはないと思っている。クラウドソーシングといった外部リソースも有効に活用しながら、プロジェクトを最大化できればそれでもいい。変に形にこだわることが返って非効率になることもある」とワークスタイルや会社のあり方に対する信太代表の頭は極めて柔軟だ。

どうすれば業務を効率化できるのか…。多くの企業が取り組みながら大抵は中途半端に終わりがちな、ある意味永遠のテーマ。明快な解にたどり着けないとすれば、その原因は、実はぬぐい切れていない保守的思考にある可能性がある。すでに右肩上がりの時代は終わり、必ずしも皆が事務所に集結して仕事をする必要はない。そうした事実と向き合うだけでも、見えなかった出口が、意外なほど簡単にみえてくるのかもしれない…。


自著のテンプレート仕事術<テンプレート仕事術>効率化のノウハウを豊富に持つ信太社長は「テンプレート仕事術」という本も出版している。その中で「日常業務の75%はテンプレ化。残りの25%は創造的なことに使うべし」と仕事効率化のアドバイスを送る。型が決まっている業務は、“自動化”し、浮いた時間を仕事を磨き上げる時間に費やすのが、ストレスフリーの仕事になるということだ。仕事のための仕事に追われ、余裕がないといい発想は出てこないという考えが根底にある。

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