
グッバイワーク リスト№1 カメラマン
~縮小する仕事・消滅する仕事~

ちょっといいカメラならこうした面白い写真も簡単に撮影できる
それほど美しくない人でも“別人”のように写し出す。なにげない風景を芸術的なショットに変貌させる…。プロフェッショナルカメラマンの腕は、さすがというほかない。しかし、カメラ性能の向上によって、素人でもプロ並みのショットがとりやすくなっていることは否定できない。
そうなると、問題が生じてくる。いい作品をつくりたい、でもコストはそれほどかけられない。何を削るのか…。最終的にはどうしても人件費にいきついてしまう。そこで、カメラマンにしわ寄せがくる。カメラマンに支払うコストで、高機能のカメラを購入し、素人スタッフに撮影させるのだ。
冒頭に記したように、カメラマンの腕はさすがである。一方で、高機能カメラの性能もあなどれない。プロの様には撮れないことを見越して、撮影時にプロのように加工できる機能がついていたりする。そうなると、素人目にはプロのショットもそうでないものも区別がつかなくなる。
米国では、全カメラマンとの契約を解除したメディアもある。代わりにライティングスタッフにカメラを持たせた。カメラマンレベルではなくとも、十分に商用に耐えうる画像は撮影できるとの判断だろう。なにより、これにより、人件費が半分近くにおさまるのだから、経営的には申し分ないのだろう。
芸術性の追求という域になれば、機材のよさのみでは到底プロフェッショナルカメラマンに及ばないが、使用目的によっては、カメラマンの活動フィールドは今後減っていく可能性は高いのかもしれない。昨今は、動画にもこの波が押し寄せており、ネット上の画像・動画の少なくとも半分は素人が撮影したものであふれている。逆にいえば、ホンモノのプロフェッショナルのテクニックが光りやすい状況ともいえるが…。
安泰度60%