働き方

偽装ホワイトとホワイト企業の見極め方

投稿日:2017年9月5日 / by

ブラック企業リスト掲載企業だけがブラック企業だけではない

5月に初公開された、厚労省の労基法違反のリストである、「ブラックリスト」が更新されました。タイミングがお盆だったので、せっかくの休みに冷や水だった方もいたに違いないと思いますが…。

このリストに名前が載るほど、不名誉なことはありませんが、このリストに載っていないから「ホワイト」かというと、もちろん、そうではありませんね。グレーというか、明らかにブラックな会社が法の目をかいくぐって、あるいは誤魔化して、現時点ではリストに掲載されてないだけの会社も多くあることでしょう。

「働き方改革」と称し、長時間労働の抑制に取り組む会社が、それなりに多くなってきました。しかし、働き方改革の本質はそこではありません。あくまで、長時間労働の抑制は、入り口として取り組むには重要なのですが、仕事のやり方を変えず、ただ時間を短くするだけでは、仕事量(成果の量)減らすしかありません。それでは売り上げも減ってしまいますよね。

短い時間の中で、いかに今まで通りの、場合によっては今まで以上の成果を上げられるのか? いわゆる生産性の向上を考えるきっかけとして全体の時間に制約をつけるなら意味があるでしょう。なにより、そうでなければ、導入した会社が自分で自分の首を絞めることになりかねませんよね。

長時間労働抑制=働き方改革達成企業は大きな勘違い

長時間労働の抑制に関する対応をしたから、働き方改革の対応が出来ている。そんな風に勘違いをしている会社も多くあります。見栄えのいい制度を数多く導入している企業も増えています。でも、制度の有無や、見える数字はある程度整えることが出来ますよね。だから、それだけでは“偽装ホワイト”と言われても仕方がありません。

それらが組織にしっかりと根付いているか?制度が理解され、利用されているか?風土として、考え方として組織に溶け込んでいるか…。そこまでいって初めて、施策が機能し、社員満足度も向上し、「ホワイト」と呼ぶにふさわしいといえると思います。

どのような施策を展開すれば良いか、などは組織によってまちまちですが、共通して言えることは大きく2つあると思います。ひとつは細やかな対応をしなければならないということ。もうひとつは、これらの取り組みが、自走的に、自律的に動いている状態の組織になっているということ。これらがなければ、どんなに見栄えがよくても長続きしないということです。

「偽装ホワイト」と、「ホワイト」。その間には、本当に大きな違いがあると、断言していいと思います。

⇒ハピネスマイル 代表 尾形 和昭 公式ブログより転載


【プロフィール】尾形和昭 Ogata Kazuaki ハピネスマイル合同会社 代表 NPO法人ファザーリング・ジャパン「男の100年ライフ」プロジェクト リーダー。1972年1月生、広島県三原市出身。住友金属工業に入社し、IT部門で開発、営業等、数多くの業務に従事。1999年に労働組合の立ち上げメンバーとなり、旗揚げ。その後、働きがいのある職場づくりの研究を担当。以来、仲間とともに、職場・グループ会社での働き方改革を実践し、事務局長、副委員長や、グループでの事務局次長、執行委員長を歴任する。その間、出向・転籍・会社の株主変更等も経験、1,800名の労働組合トップ、50,000 名超のグループ労組事務局での経験や体験談を踏まえ、働き方改革を世の中で推進していくため、2016年ハピネスマイル合同会社を立ち上げる。「ワーク・ライフ・シナジー」「イクボス」「働き方改革」の重要性を、多くの人に伝えるために、企業や、労働組合、自治体などを中心に講演、執筆を中心に活動をしている。

 

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について