働き方

働き方改革を改善レベル終わらせないために押えておくべきツボ

投稿日:2017年7月4日 / by

有識者が“改革”の本質を議論

働き方改革が進む中、その本質に迫るフォーラム「第一回働き方改革フォーラム」がさきごろ、都内で開催された。国を挙げての推進の潮流。一体、なぜ必要なのか? 実状に詳しい有識者が集い、ぼやけがちな焦点を鮮明に照らした。

無知でいると誰もが損をしかねない

最初に講演したのはジャーナリストの白河桃子氏。働き方改革実現会議の有識者議員に名を連ねる同氏は、働き方改革に対する誤解として「個人の生産性向上やテレワーク、休み方改革だけでない」と釘を差し、その本質は経営者にビジネスモデルの変革を迫るものと指摘した。

昨今の働き方改革の潮流では、定時帰宅やリモートワークの推奨で、あたかも“改革”が進んでいる印象を受ける。だが、個人が業務を見直すことと働き方改革は似て非なるもの。重要なことは、昭和の人口ボーナス時代の成功モデルは破たんしており、新たな成功モデルを構築する必要がある。そこを理解せず、徒に業務改革に取り組んでも、“改善”程度にしかならないということだ。

続いて登壇した連合会長の神津里季生氏は、「多様な働き方があってしかるべし」という大前提のもと、一人一人のニーズに合った雇用スタイルが必要であることを訴えた。さらに、働く側もしっかりとワークルールを学び、やめる権利も、クビにされない権利もあることなどを力説。そうした知識をもっておくことで、不当な労働から逃れられるとアドバイスした。

白河氏同様に有識者議員である神津氏は、連合会長という立場から、昨今の労働者の弱い立場に対し、決してそうではなく、しっかりと知識をつけることで対等に対抗できるとし、連合としても今後、そうした立場をさらに強固にすべく、法案改正などに動いていくとを約束した。

正しく取り組むことで回避できる迫りくる危機

パネルディスカッションでは、2人に昭和女子大学キャリアカレッジ学院長の熊平美香氏も加わり、さらに踏み込んで議論。熊平氏は、女性活躍について、キャアリアカレッジでの実感として「共通項として、責任感が強く、頼られる、信頼されると期待に応えようと真摯に頑張る。それは素晴らしいが境界線を越えては意味がない。本当に納得している立ち位置はどこなのかを考えて欲しい」と女性の過労死問題とも絡め、特に女性は働き方と冷静に向き合うことが重要であると説いた。

神津氏は、生産性向上についても言及。昨今の潮流をみながら、その誤解をズバリ指摘。「人を減らす、給料を減らす、は完全な勘違い。むしろ全く逆で、雇用を維持し、労使で協議し、生まれた価値を公正に配分することが3原則」と真逆をいく昨今の労使関係に警鐘を鳴らしつつ、健全な生産性向上へのシフトをアピールした。

白河氏が提示したスライドの一部

白河氏もこうした風潮をチクリ。「労働時間が短いことがいい、というわけではない。労働時間が長い=一生懸命というのは単なる自己満足。子どもができたとたんに働きにくくなるのは、そういう誤った価値観が少なからず影響している」と働き方改革が、決して単に時短推奨などといった施策でないことを改めて主張した。

この流れを受け、熊平氏は「これまでは仕事と時間の関係を結びつけ過ぎていた。どれだけ長い時間働いたかではなく、どれだけの価値を生み出したかがこれからの指標となる。これまではそこが時間に丸まって見えにくくなっていた。働き方改革によって、これからはよりいい仕事がしやすくなる」と働き方改革の健全な浸透によるビジネスにおけるイノベーションの可能性にも触れ、その展望に期待を寄せた。

職場レベルの働き方改革は、いかに効率的に、という側面に集中しがちだが、本質はもっと深いところにある。社会構造の変化により、ビジネスにおける成功法則が変質している。だから、それに合わせる必要がある。昨今の動きでは、表層的な“改革”こそ進んでいるが、その背後にある変化と十分に連動しているようには思えない。それでは本当の改革とはいえず、迫りくる危機に対応できない。現場の視点とは視点も鋭さも異なる有識者による議論からあぶり出されたのは、日本企業に迫る危機であり、経営者、そして労働者の意識改革の重要性だ。

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