働き方

女性が働きやすい職場のつくり方【後編】

投稿日:2018年3月28日 / by

失敗で得た教訓とノウハウの融合で磨き上げた組織づくり

優秀人材をスカウトし、スター集団としてスタートした営業アウトソーシングの(株)Surpass。ところが、有能人材は、数字こそあげるものの、比例してトラブルも多く、やがて空中分解。“第一次サーパス”は、ゼロからの再スタートを強いられる。そこで石原社長がとったのは、真逆の戦略。未経験者を育成するという方針だ。あえて難題に突き進んだ石原社長。そこからどうやって、苦境を突破し、V字回復を遂げたのか…。後編では、その神髄に迫る。

社員が安定したパフォーマンスをキープする仕組みとは

女性ならではのきめ細かさが生かせる部分を切り出し、クライアントとの絶妙な距離感で信頼を構築。企業の売り上げ向上と社員の成長が連動するスタイルを確立した石原。もっとも、さすがに未経験では、この仕組みだけでの成長は難しい。その課題解消に導入されたのがチーム制だ。常に複数体制でチームを編成することで、互いにカバーしあい、報告や指示はプロジェクトマネージャーを介すことで統制。これにより、各メンバーの属人化を防ぎ、常に安定したパフォーマンスを発揮できる組織体系をつくり上げた。

営業という職種は、どうしてもブラックボックス化しやすく、属人化しがち。それだけに、組織で安定的に数字をキープする仕組みづくりは簡単でない。かといって、数字にこだわりすぎると、プレッシャーを与えてしまう。「やれることを明確にして、そこを愚直にやり続けていくだけ。それで結果がでなければ、それはもう仕方がない」。同社の営業スタイルは、あらゆるシーンを想定し、やるべきことを考え抜いて構築された分、限りなく合理的。やり抜けば結果が出るよう練り上げられている。なにより、石原自身がそれでよし、と腹をくくっている。

営業=気合と根性。石原自身、そうしたスタイルでトップに君臨してきただけに、そのつらさを熟知している。だからこそ、同社の営業にはそうした悪しき旧来の営業スタイルの影はない。「私はノリと勢いで、成績が良かっただけ。でも、営業トップに立ったことで、会社が私を人としてではなく、数字として見ていることを感じることもあった」。そうしみじみ振り返る石原には、自社の社員にはそんな思いをさせたくないという強い思いがある。

トップがどっしり構えることで生まれる職場の安心感

トップの信念がこうだから、職場は自ずとおおらかなムードに包まれ、グッと安定する。そうすると、社員は不安を抱えることなく、仕事に集中できる。みるみる成長する。だからやりがいを実感できる。主体性が磨かれる。そして、結果にもつながるーー。実は、この場を安定させるムードこそが、シンプルながらも、女性の営業サポート部隊として同社が成り立ち、機能している最大の肝といえるだろう。

面白いのは、同社の社員の増え方だ。なんでも、その多くがリファラル採用という。普通なら友人を営業職には誘いづらい。だが、同社には紹介したくなる魅力があるということだろう。あくまでも社員が自主的に知り合いを引き込んでくるという。必然のようにその定着率も高い。まさに、女性が活躍する会社の理想形のように、同社は規模も売り上げも順調に拡大を続けている。

経営理念に凝縮される営業経験で行き着いた思い

学生時代はアフロヘアで、ひょんなことから大手生保に入社。あれよあれよと営業トップに君臨した石原。当時は、まさにノリと勢いで社会を快走してきた。もっとも、良くも悪くも、そこにさしたる信念はなかった。だが、いまや、仕事を志を持って取り組む「志事」と捉え、「2020年に女性営業のパイオニアとしてブランドを確立する」ことをビジョンに掲げ、経営トップとして独自の領域を邁進している。

早い段階で高い山に登り、その心地よさを知り、同時に社会の厳しい側面も目の当たりにし、様々な業種を渡り歩いた。だからこそ、人を大事にする視点が研ぎ澄まされ、大きな器で社員を見守る余裕が育まれたーー。「関わるすべての人と豊かになる」。その経営理念には、石原がこれまでに営業として歩んできた、いいも悪いも含めた全ての思いが凝縮されている。

前編はコチラ


<プロフィール>石原亮子 ryouko ishihara
短大卒業後、大手生保の営業職に就く。社内の否定的に声に反発するように泥臭い営業を続け、すぐにトップクラスの成績を上げる。顧客満足を追求する中で限界を感じ、3年で退社。以降、グルメサイトの立ち上げ、ペット保険の立ち上げ、地下水プラント、EC広告、オフィスのコンサル…など様々な職種を渡り歩く。常に高い成績を上げる中で、女性営業への大きなニーズを実感。2008年に起業する。20歳の頃、テレビで女性経営者の特集をみて「社長になる!!」と思い立って8年後のことだった。会社は苦難のスタートを切るが、V字回復し、現在、順調に規模を拡大。2017年には、「JAPAN WOMAN AWARD 2017」(Forbes JAPAN主催)の企業部門総合ランキング(従業員数300人未満の部)で第3位を受賞している。


【会社概要】
社名:株式会社 Surpass
代表取締役:石原 亮子
取締役:清水 貴裕
所在地:【本社】〒141-0031
東京都品川区西五反田7-20-9 KDX西五反田ビル3F
【大阪営業所】〒531-0072
大阪市北区豊崎3-15-5 TKビル2F
事業内容:セールス・プロセス・アウトソーシング
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