働き方

とにかくやる! が非生産的である理由とは

投稿日:2018年4月10日 / by

変人・安田の境目コラム

「とにかく」は思考停止の合図

「とにかく急ぐ人は、思考が停止している人」。なんて、ご本人に言ったら、怒るでしょうね。「あなた今、思考停止してまいすよ」「うるさい!俺は急いでいるんだ!」って。


なぜ人は急ぐのでしょう。人よりも先に行くため、でしょうか。人に遅れをとらないため、でしょうか。その場合の人って、誰のことなのでしょう。同期のことでしょうか。競合他社のことでしょうか。同期も走るから、俺も走る。競合も値引きするから、ウチも値引きする。

何のための競争でしたっけ。何のためのテクノロジーでしたっけ。豊かになるために、競争しているんですよね。楽をするために、ロボットを作っているんですよね。競争が目的になり、負けないために走り続け、その結果、みんなが負けて行く。豊かになるどころか、誰も儲からない。楽するどころか、ロボットに仕事を取られてしまう…。

ちょっと、この辺で、いったん、立ち止まってみてはいかがでしょう。崖に向かって全力疾走したら、いかんでしょ。ちゃんと道が続いているのか、チェックしましょう。

「とにかく」を禁止したら日本はどうなるのか…

ようやく日本でも、終末医療が考えられるようになって来ました。本人も、遺族も望んでいないのに、とにかく死なないように栄養を与え続ける。

とにかく生かす――。恐ろしいことです。とにかく働くことも、とにかく競争することも、とにかく勝つことも、全部恐ろしい。「とにかく」は、恐ろしい。とにかくは、思考停止の合図。とにかくは、いかん。とにかくは、とにかく、いかん。

ビットコインは怪しい。何で? とにかく、怪しい。じゃあ円やドルは怪しくないの?自国民を守らなきゃ。何で? とにかく、守らなきゃ。じゃあ他国民は守らなくていいの? お金って何だっけ? 国家って何だっけ? 働くって何だっけ? 成長って何だっけ?ずいぶん長い間、考えることをサボって来た質問たち。目先の結果ばかり求めて、思考することをやめてしまった私たち。

とにかくは、禁止。とにかくは、とにかく禁止。そう決めてしまったら、どうでしょう。とにかく治療するのも、とにかく勉強するのも、とにかく働くのも、全部禁止。きっと大パニックになるでしょうね。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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