働き方

妊娠中の妻の介抱は欠勤理由として許せますか?

投稿日:2018年11月6日 / by

同僚社員が「妻のつわり」を理由にたびたび欠勤! 処分は可能?

先日ある掲示板に、女性会社員と思われる人物から「同僚の男性社員が妻がつわりだからと言ってたびたび休む。自分も経験したが旦那に休んでほしいとは思わなかった。仕事もこなせていないし、クビにしてほしい」という相談がありました。

これに対する反応は「休暇取得に理由は関係ない」「つわりの程度は人それぞれ違う。休むことは仕方がない」という投稿者に対する批判が多数を占めましたが、なかには「それでは仕事を任せられない」「気持ちはわかる」という理解の声も。

はたしてこの社員を処分することはできるのでしょうか? 法律事務所あすかの冨本和男弁護士に見解をお伺いしました。(powered by シェアしたくなる法律相談所

Q.男性同僚が奥さんのつわりでたびたび会社を休む。処分することはできますか?

A.難しい

冨本弁護士「左遷や解雇は難しいと考えます。まず、奥さんが「要介護状態」にあって、夫が勤務先に介護休業の申し出をした場合、介護休業をした者に対して、勤務先が解雇その他の不利益取扱いをすることは許されません(育児介護休業法16条、10条)。

「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことをいいます。奥さんが「要介護状態」とまでいえない場合、育児介護休業法の適用はありません。

しかし、解雇は、労働者の生活に対する影響が大きいため、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、その権利を濫用したものとして無効となります(労働契約法16条)。

奥さんのつわりでたびたび会社を休み、仕事を任せられないとのことですが、1~2ヶ月間位のことと考えられますし、家庭の円満のために夫が休んで奥さんを介助することも致し方ない場合もあります。したがって、いきなりの解雇は無効となるのではと考えます」

納得がいかない気持ちはわからなくもありませんが、休暇取得は社員の権利。つわりは長期にならない可能性が高いこともあり、今回のケースでは「解雇相当」にはならない可能性が極めて高いようですね。

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*取材協力弁護士: 髙田英治(髙田総合法律事務所)

*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

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