働き方

大規模調査に透ける働き方改革のダメダメな現状

投稿日:2019年2月7日 / by

「働き方改革を実感する」が3割は少ないのか

「働き方改革」。この言葉を耳にするようなってもう5年近くになる。政府の後押しもあり、長時間労働や有給取得率もかなり改善されている。モーレツ社員という言葉は死語になり、働き方改革はそれになりに浸透しているようにもみえる。

日本能率協会がビジネスパーソン1000人を対象に意識調査を行っている。それによると、働き方改革を実感していると回答したのは31.2%だった。前回より10.9%のアップで、悪くない結果といえるが、実感していない割合は約7割。職場で10人中7人が実感していないと考えれば、決して褒められたものではないだろう。

詳細をみていくと、働き方改革として実感することについては、「有給休暇が取りやすくなった」が微増しているが、「残業が減った」は7%ほどマイナスになっている。「女性活用が進んだ」は、前回24.1%から11.2%と大幅ダウン、シンクロするように育児との両立支援もダウンしている。

一方、高いポイントを示したのは、「ムダな業務・会議が減った」(23.4%)だった。だが、これは今回の調査から新設された項目で前年との比較はできない。「IT化が進んだ」と「副業・兼業がしやすくなった」もポイントをあげているが、働き方改革の本質を考えるとやや微妙な結果といえるだろう。

なんとなく感じる働き方改革の何がマズいのか

そこで、実感していない人の理由をみてみると、その要因があぶり出されてくる。実は、下図のように全項目で前年よりポイントがダウンしている。つまり、前年より悪いと感じる人は減っている。裏を返せば、働き方改革が前進していると感じてはいるということだ。

問題は積極的にそう感じているのではなく、なんとなくよくなっているんじゃないかという点だ。長時間労働削減や有給取得率アップなどは分かりやすいが、それ以外になにがあるのか。そもそも、働き方改革によって、ワークライフバランスが改善されるとしても直接的に業績に貢献するわけでもなく、給与アップに影響するわけではない。この辺りが、ビジネスパーソンに働き方改革の本質を見えづらくしていると考えられる。

副業についての調査結果は、こうしたピンボケぶりを象徴するものとなっている。「やってみたい」と考えている人は4割だが、実際にやったことのある人は2割ほど。やりたい理由は「収入を増やしたい」が圧倒的で、できない理由は「時間がない」。「会社が認めている」のもわずか16.9%に留まっている。個人と会社の思惑が大きくずれており、働き方改革が労使間でうまく利害が合致していないことがにじんでいる。改革を加速させるには抜本的なてこ入れの必要性を感じさせるお粗末な結果だ。

前年比では着実に働き方改革が前進しているようにもみえる調査結果だが、肝心のところは悪化しており、そもそも働き方改革の本質を分かっているのが疑問になるような結果といえる。働き方改革の本質は、時間でなく質で仕事をし、時間を最大限に活用。公私を充実させ、有意義な人生を送ることにある。その実現に近づいているかが指標となることが健全だ。

その意味では、「労働時間より成果で評価されるようになった」や「女性活躍が進んだ」、「育児と仕事の両立支援が強化された」などの項目が前年よりダウンしているのは、実質的な後退と捉えるのが正しいといえるかもしれない。今後、企業のIT化やAI化が加速すれば状況は変わってくるかもしれないが、現状は、働き方改革の理想には程遠い現状があぶり出された結果といえるだろう。

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