働き方

働くママが輝き続けるためにしてはいけないこと

投稿日:2015年6月10日 / by

mamaworking01妊娠から復帰後までに押さえておきべきポイント

女性のキャリア・働き方専門家

毛利優子氏

政府の後押しもあり、社会での女性の活躍が目立ち始めている。とはいえ、妊娠・出産・育児という大きなイベントを控える女性が男性同様に活躍するのは簡単でない。3児の母として子育てと仕事を両立してきた毛利優子氏。新卒時点からママだった同氏は、誰よりもオフィスで子持ちの肩身の狭さを感じながら、それを乗り越えてきた。現在、体に染みついたそうしたノウハウを活かし、仕事と家庭の両立をコーディネートする「女性のキャリアプランニング・働き方の専門家」として活躍する氏に、働くママが輝き続ける秘訣を聞いた。

新人時代からいきなり子持ちで芽生えた意識

keepworking4子どもの1歳の誕生日が入社式。そんな状況で、就職した毛利氏にとっての社会人人生は、まさに子育てと仕事を両立する日々そのものだった。新人ということで当然、仕事には不慣れ。それに加え、子持ち。平常心でいることが困難な状況の中で、いつも「迷惑をかけて申し訳ない」、という後ろめたさがあったという。それでも毛利氏は、押しつぶされることなく、「いかにすれば戦力となれるのか」を意識しながら業務に臨んできた。

「会社は就活時に私が子供がいることも理解した上で正社員採用してくれました。教育担当の先輩上司も女性でしたから、子育てしながら働くには恵まれた環境でした。その点は本当にありがたかったです。とはいえ、残業なしの勤務でしたし、何かあれば保育園から呼び出しがあったりで会社に迷惑をかけているという後ろめたさはずっとありました」と毛利氏は振り返る。

“罪悪感”バネに質にこだわった働き方を実践

決して、会社がママ社員に冷たいというわけではなかった。むしろ、協力的だったといえる。だが、責任感の強い毛利氏にとっては、新入社員にも関わらず、残業できないことが負い目に感じられたのだ。もっとも、だからこそ、様々な制約がある中で、毛利氏はフルタイム社員に負けない“短時間”で成果を出すことにこだわった。負い目に感じるだけでなく、それを糧に「質」にこだわる。こうした意識は、子育てしながら働く女性の心構えとして大いに参考にできるだろう。

では実際に、毛利氏が働くママとして突き当たった、それぞれのターニングポイントで行ってきたことを参考に、働くママが輝き続ける極意をみていこう。

◇ターニングポイント1:妊娠発覚

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働くママの分岐点での処し方をレクチャーする毛利氏

・「言いづらい気持ちはよくわかりますが、妊娠中は何が起きるかわかりません。報告はできる限りすぐに行うべきです。報告する際は、妊娠を伝えるだけでなく、いつからお休みをとって、いつ復帰するのか、そして復帰後どのような働き方をしたいのかまで伝えられるようにしましょう。妊娠時は体調不良などもあり、タイミングを伸ばすとズルズル行く可能性もあります。遅れるほど迷惑が拡大してしまいます」

◇ターニングポイント2:引き継ぎ

・「引き継ぎは担当業務の全体像を把握出来る形で提示し、出来るだけ詳細に情報を開示しましょう。スケジュール・工数・関係者などが一覧でわかると、後任の人を決めやすくなります。断片的だと消化不良を起こしやすく、育休で不在の間に残った人に迷惑をかけてしまいます。引き継ぎは、口頭だけでなく、再現性あるマニュアルなどに残しましょう」

◇ターニングポイント3:復帰後の処遇

・「復帰後やりたい業務は明確に伝えおくべきです。中途半端な意思表示では、上長も判断しかねますし、当人のモチベーションも下がってしまいます。遠慮というより、ある意味で配慮といえるかもしれません」

◇ターニングポイント4:育休中

・「育休中は忙しいですが、復帰後の理想のキャリアをイメージして、本を読んだり、関連スキルの勉強などに時間を充てるとよいでしょう。それから、社員との交流を行うのもおすすめです。戻った時に状況(組織編成や人事など)をリアルタイムで知っていることはスムーズな復帰にもつながります」

ターニングポイント5:復帰

・「復帰日に復帰できないケースは珍しいことではありません。子どもが体調を崩してしまうことを前提に両親の助けを借りる病児保育・ファミリーサポート登録をするなど、復帰後のサポート体制づくりの準備が不可欠です」

いかがだろうか。働く女性が、妊娠発覚後に訪れるそれぞれのタイミングで、どう対処するか。それによって、その後の「活躍のしやすさ」は、大きく変わってくる。当たり前のことばかりかもしれないが、だからこそ逆に中途半端になりがちではないだろうか…。つい空気に流され、消極的になったり、受け身になりがちだが、「働き続ける」ことを前提とすれば、上記の各行動が業務と同等レベルに重要であることはいうまでもないだろう。全力で取り組まないと、気持ちよく職場復帰する「指定席」は確保などできない。職場は、働いて、その対価としてお金をもらう場所。ある程度の厳しさがあるのは当然である。

重要なのはまめなコミュニケーション

毛利氏が手掛ける羽田らママのお役立ち情報満載のサイト

毛利氏が手掛ける羽田らママのお役立ち情報満載のサイト

総じていえることは、働くママはとりわけ、上司を含め、関係する社員を中心にしっかりとコミュニケーションをとっておくことが重要ということだ。長く席を空けるということは、それだけ会社に迷惑をかけるということ。それを最小限にするためには、自分の状況をできるだけ詳細に上司や同僚、業務に関係する人に漏れなく伝えておくことが肝になるからだ。どんな仕事を、どれくらいのスピードで、どれくらいやって、どんな人が関わっているのか…。余すことなく伝えることで、残ったスタッフは安心して仕事を継続できるし、「指定席」も確保しやすくなる。戻った後もいいムードで迎えてもらえ、職場にもスームスになじめるだろう。

マタハラの事例では上司や異性のみならず、同性からの妬みも珍しくないという。こうしたことを回避するにも、残った社員が気持ちよく仕事を引き継げる配慮が重要だ。ここを疎かにすると、復帰後希望した「空けておくべき席」も素知らぬ顔で埋められたり、復帰後に嫌がらせをされることもあるだろう。だからこそ、席を空ける前には、重要なプレゼンをする位の労力をかけてでも、しっかりと自分の状況をガラス張りにしておく必要がある。

復帰後は育児を言い訳にしないことが重要

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最新刊には毛利氏の働くママが輝く極意が満載されている

当然だが、復帰後は、働きぶりで評価が左右される。「子供がいるから、残業しないで当たり前」という姿勢では周りからの理解を得られなくて当然。最低限の意識として、子育てを言い訳にすることはなくす必要がある。毛利氏の最新刊では、「突発的な休みにも対応できるようなスケジュール管理法」、「業務効率化の仕組みづくり」、「上司から突発的な業務をふられたときの上手な対応」、「ランチを活用した職場の人とのコミュニケーション」など、自身が実践した内容が豊富に紹介されているので、参考になるハズだ。

子を授かることはこの上ない喜びに違いない。だが、その後も働き続けるなら、それを甘えにしてはいけない。当然、パートナーの協力も不可欠になる。ママになっても輝き続けるビジネスパーソンであるためには、産前産後に育児。それらの期間も“社員”としてやるべきことを見失わない。そうした姿勢や仕事ぶりが、結局は、職場の疎む空気を遠ざけ、逆に協力してもらえる好循環を生み、ステップアップにもつながっていくーー。毛利氏の事例はまさにそのロールモデルとして大いに参考になるだろう。


<これで解決。働くママが必ず悩む36のこと:日本実業出版社>
book毛利氏の最新刊。3児の母でありながら、会社員として成果を上げ、仕事と育児の両立支援サイト「働くママプラス」を立ちち上げた著者が、妊娠報告から自分が育休中の仕事のまわし方、キャリアアップの秘訣まで、社内規定や前例がない会社でも育児をしながら活躍するコツを紹介。子育てを楽しみながら、職場で活躍するためのヒントが網羅されている。


【プロフィール 毛利優子(もうりゆうこ) 女性のキャリアプランニング・働き方の専門家】
大学在学中に長男を出産し、卒業後大手監査法人に就職。3人の子育てと仕事を並行しながら、 転職・起業した自身の経験をもとに、女性のキャリアや仕事と家庭の両立に関するノウハウをWebサイトや 著書を通じて発信。Webサイト運営会社に在籍時に働くママを応援するWebサイト『働くママプラス』を企画し、執筆を担当。月間5万PVの人気サイトとなっている。「女性が結婚・出産後も自分らしいキャリアを歩める社会にする」という理念のもと、仕事と家庭を大切にしたいという女性向けのカウンセリング等を実施している。著書に『働きたいママの就活マニュアル』(自由国民社)『これで解決。働くママが必ず悩む36のこと』(日本実業出版社)がある。

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