働き方

上昇志向のない女性こそいま、人材として必要な理由

投稿日:2016年3月16日 / by

生活感のある女性社員が持つ可能性
(株)クオレ・シー・キューブ 岡田康子代表

インタビュー前編で、現在の女性活躍の追い風を認めつつ「ラストチャンス」と指摘した岡田康子氏。後編では、どうすれば、その波に乗れるのか、具体策を聞いた。生活感のある上昇志向がないタイプの女性の方が、革新の可能性を秘めるという氏の解析は、思わず耳を傾けたくなる、心強いメッセージだ。

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女性によってもたらされるメリットを意識した視点が重要になる時代

必要は発明の母というように、ごく日常の必要性から大発明やヒット商品が生まれるケースは珍しくない。いわゆる企業戦士としてのカラーに染まった総合職の人材よりも、日常と密接に関わり、そこに鋭い視点を持ついわゆる消費者目線をしっかりと持つ女性の方こそが潜在力を秘める。それはその通りかもしれない。しかし同時に、そうした層がビジネス領域へ足を踏み出す意欲は、そもそも決して高くない…。

岡田氏 確かにいきなり、事業提案というのはハードルが高いかもしれません。事業提案だけでなく働き方改革という提案もあります。今企業が女性に期待しているのは労働力としてだけではありません。女性のライフイベントを大事にした働き方が、男性の働き方を変えていくだろうと期待されています。ひとくちにイノベーションといってもさまざまなイノベーションがあります。働き方の変革、業務の効率化や企業のイメージアップなどの間接的効果をもたらすものもあります。また新しい商品やサービスの開発に関することや新たな市場を開発するなど直接的イノベーションもあります。自分の会社はこれからの時代を生き抜くためにどのような戦略を立てているのか、そして、どの分野で女性が期待されているのかを知る必要があるのです。そこで自分で貢献できそうなことがあれば提案していけばいいのです。多くの企業で取り組み始めているダイバシティ推進なども、女性のための施策ではなく、女性によってもたらされるメリットを意識した視点を持つことになるでしょう。そこにチャンスがあります。

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一念発起して、事業提案。もしかすれば、具現化する可能性もある。そうだとしても、簡単にこれまでのピラミッド型のヒエラルキーに割り込めるとは思えない。結局は、意見を吸い上げるだけで、何も起こらない、変わらない。そんなことにならないのか…。

岡田氏 女性管理職の目標を設定する企業は多くなるなかで男性からは「下駄をはかせている」「割り込みだ」などと反発の声が上がっているのも事実です。それまでの秩序を壊すのですから。ですから、私はこれまで作り上げた組織のピラミッドとは違うピラミッドを作ればいいのではないかと考えています。それは本業の周辺に新しいサービスを作って、事業を立ち上げていくことです。それによって既存の慣習にとらわれない新しい仕事の仕方、働き方を作り出していくことができるでしょう。新たなビジネスを作るのが無理だとしても、子会社の変革を女性チームでやることも一つの方法ではないでしょうか。そんなチャンスがあったら是非チャレンジしてみてください。

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70歳まで働き続ける時代に必要なチカラとは

吹き付ける女性活躍の追い風。迫りくる人工知能やロボットの脅威。その狭間で、働く女性はいま、「ファイナルアンサー」を求められている。過渡期にあるこの時代、一体、働く女性は明るい未来を発見するためにどうあるべきなのか。

岡田氏 積極的なかかわりが無理なら徹底的に雇われる力、専門的スキルを高めることです。これから70歳まで働かなくては生活していけない時代がやってきます。それまで今の会社が生き残っているとは限りません。仮に会社がなくなっても転職できる力、社会で通用する力を養っておく必要があるのです。会社で言われたことをやり遂げる、つまり社内で最適化するだけでは生き残れません。逆に外でも通用する力がある人が社内でも重宝されることでしょう。雇われ得る能力、つまりエンプロイアビリティを磨くことが何より重要になります。雇われるという受け身でなく、どこもが雇いたくなる人材になる。それが、この不透明な時代を生き抜く上で重要です。具体的には、代わりの利かない仕事をする、お客様や周囲のことを考えながら仕事をする、将来のことを考えながら仕事をする…などです。そうしたことを徹底することで会社に雇い続けられ、好条件で転職でき、そして、やりたい仕事をやり続けることができると思います。そうなれば、周囲に惑わされることなく、全てを自分で決めて、自分で選ぶことが可能なる。特にこれからの時代、自分の未来は、自分で選ぶしかないのです。

前編→ なぜいまが働く女性にとって活躍できる“最後のチャンス”なのか


【プロフィール】
岡田 康子 株式会社クオレ・シー・キューブ代表
1954年生まれ。中央大学文学部卒業後、社会福祉法人や民間企業での勤務を経て、1988年企業の新事業コンサルティングを行う株式会社総合コンサルティングオアシスを設立。1990年東京中小企業投資育成株式会社から投資を受けて働く女性を支援する株式会社クオレ・シー・キューブを設立するなど自ら事業推進の経験を持つ。また1988年から社内起業研究会を主催し新事業やベンチャーの研究を行う。2001年にパワーハラスメントという言葉を生み出し、その後一貫してハラスメント防止対策に取り組む。2013年からDIW(Dynamic Innovation by Women)というコンセプトの下、働く女性活躍の支援サービスを行う。

株式会社クオレ・シー・キューブ: http://www.cuorec3.co.jp/

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