
2016年の新人は「ドローン型」
今年の新人が「ドローン」の理由とは
今年はドローン。2016年度の新入社員のタイプは「ドローン型」だそうだ。公益財団法人日本生産性本部の「職業のあり方研究会」(座長:ライズコーポレーション株式会社 代表取締役 岩間 夏樹氏)が、毎年発表する新入社員の特徴として発表した。
毎年恒例の新人のタイプ傾向。2016年は、昨年何かと話題になった自律する無人機「ドローン」があてがわれた。研究会の見解は次の通りだ。
「強い風(就職活動日程や経済状況などのめまぐるしい変化)にあおられたが、なんとか自律飛行を保ち、目標地点に着地(希望の内定を確保)できた者が多かった。さらなる技術革新(スキルアップ)によって、様々な場面での貢献が期待できる。内外ともに社会の転換期にあるため、世界を広く俯瞰できるようになってほしい。なお夜間飛行(深夜残業)や目視外飛行は規制されており、ルールを守った運用や使用者の技量(ワークライフバランスへの配慮や適性の見極め)も必要」。言い得て妙だ。
概ね良好な評価だが、一方でこんな指摘もある。「使用者(上司や先輩)の操縦ミスや使用法の誤りによって、機体を傷つけてしまったり、紛失(早期離職)の恐れもある。また、多くのものは充電式なので、長時間の酷使には耐えない。夜間飛行の禁止や目視できる範囲で操縦しなければならないルールもあるため、当然のことながらルールを守った運用や一定の技量(ワークライフバランスへの配慮や適性の見極め)も要求される」。やはり扱いには注意が必要のようだ。
大きく飛翔して世界を広く俯瞰することに期待
ここ数年、同研究会の新人の評価に共通する「扱いづらさ」。企業には毎年こうした新人が増えており、もはや「扱いづらさ」というよりも、企業そのものが、働きやすい職場への転換を迫られていると捉える方が正しいのかもしれない。扱いを間違えてドロンされ、そのまま海外にまで飛び立たれる、なんて洒落にもならない展開も今後はありうるかもしれない…。
昨年はボールペンになぞられた新人が、今年は飛行する物体となったことは、期待の表れともいえる。研究会でも「今後の普及や定着を考えると、さらなる技術革新(本人のスキルアップ)が必要だ。東京オリンピックを迎える頃には情報収集、映像制作、警備、輸送など様々な場面で活用が見込まれる。転換期にある社会の中で、世界を広く俯瞰できるよう高く飛び立ってほしい」と期待を込め、飛翔へのエールを送っている。
人口減少で一億層活躍社会の実現が望まれているが、やはり社会の活力を担うのは、若者だ。ドローンとしてその今後を予見するなら、バッテリーや規制など、動きを制約する“障害”も少なくないかもしれない。だが、実はいま、30年前よりは環境的には恵まれている部分も多い。大きな社会変革につながりうるツールでもあるだけに、命令に従う以上に自律して飛び回ってほしいものだ。